第十一話 想う
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でも、彼は自分の事じゃない・・・最初から皆の事を考えてた。皆が死んでしまうのが怖くて。
そんなことを思うと、自分の不安なんてどこかに消えてしまった。
今は、みんなで生き残る、私達を想ってくれる イナリの為に。
きっとそう、みんなもそう思っているはず。
少なくとも カタナはそう思ってる。
さっき、カタナにはこの気持ちを言っておこうと思って声を掛けた。そしたら、彼は・・・
「分かってるよ、だてに幼馴染みじゃないからね。」
そう言ってた。
大丈夫だよ、イナリ。
私達はそんな簡単に死なない。
みんなで一緒に、生き残ろう!
ね、イナリ?
同日 早朝 日の出前 暁の森
あさのはヤクジ
もうすぐだ。
もうすぐ、前線部隊と合流できるだろう。
後ろにうっとしいガキの気配を感じる。
おれの完璧な作戦にいちゃもん付けやがった。
何が・・
「楽観的ですね。相手は岩隠れ、土遁を得意とする忍ですよ。」
・・・だ。
本気で殺してやろうかと思ったぜ。
現在の敵状で、敵が動ける余裕なんてないんだよ。
何も知らないガキのくせに。
俺様は“あさのは ヤクジ”様だ。
中忍の中じゃ、今一番、上忍に近い男なんて呼ばれてるんだぞ。まぁ、言ってくれるのは後輩と おおがけ大隊長くらいだけど。
Aランク5回、Bランク55回、Cランク60回、Dランク30回という経験を持っている。
つまり、あんな何も経験のないガキが言うことと俺の言うこと、どちらが正しいかなんて分かりきってんだよ。
すっと目線を横に向ける。
木の枝に赤い布が巻いてある。
前線部隊の印だ、ここから勢力圏内であることを示している。さて、降りる準備をするか。
後ろのガキどもに向けて、手で合図をする。
“下に降りろ”
と
“集合”
の合図だ。
ガキどもに反応があるのを確認してから、下に向かって滑空する。
スタッ
地面に到着。
順番に俺の周りに奴らが降りてくる。
周りは何メートルもある木で囲われ、視界が悪いとこではある。さらには、日がまだ出ていないこともあり、とても暗い。周りをさっと見渡して、異常がないことを確認した。
その間に全員揃ったようだ。
「さて、さきほど上に前線部隊の印があった。ここは我々の勢力圏内だ。」
「ここから北上し、前線部隊と合流する。」
ちらっと横目にくそガキを見る。
キョロキョロと周りを見渡してやがる。
ちっ、いちいちムカつくガキだな!
「おい!くそガキ!話聞い
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