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《SWORD ART ONLINE》ファントムバレット〜《殺し屋ピエロ》
ネメシス
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顔を歪ませた。

咄嗟にプラズマグレネードを投げ込み、それを目くらましにして敵の視野から逃れる。側面から一気に強襲してやるつもりだ。正攻法では歯が立たないのは、悔しいが認める他なかった。

しかし、その策も一瞬のうちに看破され、メイソンは驚きに目を見開いた。舞い上がった粉塵の中、またしても着弾予測線が体をなぞったのだ。完全とは言えないにしろ、敵の目は確かに潰した。なのに、なぜーー?

体をギリギリまで倒し、弾丸をやり過ごす。その勢いを借りて地面を一回転すると、上手い具合に敵の狙いが外れてくれた。半分以上勘で引き金を絞り、敵を牽制する。布陣が乱れた隙をついて、さらに一人敵を仕留めることに成功したが、状況は一向に良くならない。いや、むしろ矢継ぎ早に入れ替わる敵の勢いに押されつつあった。

苦戦の理由はそれだけではない。

途中、何度か敵の視線を振り切った感覚があったのだが、不思議なことに、連中はこちらの位置を正確に把握しているようだった。まるでレーダーでも使われている気分だ。焦りが雫となって額を伝う。

気がつけば、入り組んだコントロール施設跡から追い出され、岩が剥き出しなった後方の空き地まで追い込まれていた。

爆発実験でも行われていたのか、高熱でガラス化したクレーターが転々と存在している。

そのうちの一つに飛びこみ、最後のマガジンを《ウージープロ》に差し込んだメイソンは、HPもイエローゾーンに突入していることに気がつき盛大に舌打ちした。味わったことない屈辱だった。三下と侮っていた相手にここまで追い詰められたのもそうだが、自分の速さが通用しないという事態に陥ったのは初めてだったのだ。

気持ちを切り替えるように首を振ると、オレンジ色の尻尾が肩に掛かった。ーーまだ、終わってない。なにかあるはずだ、逆転の糸口が……

瞬間、拡声器で拡大されたバカでかい声が、いんいんと周囲に響き渡り、メイソンの鼓膜をも振るわせた。

『ハロー、ハロー!? 聞こえてるかぁ? ひっさしぶりだなぁ、メイソォン。それにしても腕が鈍ったんじゃねぇの? 岩陰でガタガタ震えてんのが見えるぞ』

その声には聞き覚えがあった。メイソンはうんざりの度合いをぶち破って、情けない顔になった。銃身を額にぶつけながら呟く。

「……うるせぇのが出て来やがった」





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