第八章
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第八章
「ですが。それでも決意したのです」
「それで今があるのですね」
「そう、その通りです」
またキャサリンに対して頷いてみせた。
「その間に少しずつですが、はっきりわかったのです」
「兄さん・・・・・・」
「御前は私の弟だ」
微笑んでジョージ自身に告げた。
「この世で二人だけのな」
「二人だけの」
「そう、そして」
さらに言う。
「これは御前に聞きたいのだが」
「何かな」
「私は。御前の兄か」
こう彼に問うたのだった。
「私は。御前の兄なのか」
「それは」
「それはどうなのだ」
弟に対してさらに問う。
「私は。御前の兄か。どうなのだ」
「決まってるじゃないか」
言葉の意味がわからず少し戸惑ったがそれでも言うのだった。
「兄さんは僕の兄さんだよ」
「そうか」
「うん、この世で一人だけの」
こうも兄に対して言う。
「僕の兄さんだよ。それ以外の何でもないよ」
「そうか、それを聞いて嬉しい」
素直な微笑みを弟に対して向けた。他ならぬ彼の返事を聞いて。
「それならな。そうか」
「僕はね、思うんだよ」
ジョージは自分から言ってきた。
「実はね」
「何をだ?」
「血はつながっていてもいなくても」
急にこう言うのだった。
「僕達は兄弟だよ」
「血はつながっていてもいなくてもか」
「絆があるじゃない」
彼が言うのはこのことだった。
「絆があるからね。だから」
「私達は兄弟か」
「そうだよ。兄さんは僕にとってたった一人の兄さんで」
「御前は私にとってたった一人の弟」
「血だけじゃないじゃない」
また血のことを話に出した。
「その絆があるからこそ」
「兄弟なのだな」
「今、僕はそう思うよ」
語るその目は静かに笑っていた。
「そうね」
「そうか。そうかもな」
そしてそれに頷くウィリアムだった。
「兄弟というものはな」
「そうじゃないかな。そして」
彼はさらに兄に言ってきた。
「兄さん、これから僕は」
「これから?」
「もう一つ、絆を作るよ」
微笑んでの言葉だった。これも。
「これからね。もう一つね」
「もう一つか」
「うん。キャサリン」
微笑みをキャサリンに向けた。
「その絆をこれから一緒に作る為にね」
「私と一緒に」
「そう。あらためて、いいかな」
「ええ」
返事はもうこれしかなかった。
「いいわ、是非ね」
「そう、それじゃあ」
「幸せにな」
笑顔になる二人にウィリアムが告げた。
「二人共。永遠にな」
「兄さん・・・・・・」
「では、私もだ」
見ればウィリアムもまた笑顔になっていた。
「これから。その絆を作るとするか」
「作るってまさか」
今の兄の言葉にはつい驚いた顔に
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