第七章
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っていた。
「そしてスコットランド人だからといってもイングランド人だからといっても」
「違わないと仰るのですね」
「そう、その通りです」
今はっきりと言い切ったのだった。
「少なくとも私はそう考えます」
「左様ですか」
「実はです」
ウィリアムはここで態度を少しさらにかしこまらさせてきた。
「私も最初はジョージに偏見がありました」
「そうだったのですか」
「ですが」
ジョージに少し目をやったうえでまた述べる。
「それは消えてなくなりました」
「どうしてですか?」
「まず。兄弟だからです」
このことを述べたのだった。
「兄弟ですから」
「兄弟ですか」
「そうです。つながっている血は半分ですが」
父親が同じというだけだ。世間では親が一人違うということでかなりの扱いの差が出る場合がある。多くは母親の違いによってだが。
「しかし。兄弟なのです」
「左様ですか」
「思えば。運命でした」
今度はこう述べたウィリアムであった。
「このことは。運命だったのです」
「運命!?」
「そうです、運命だったのです」
さらに述べるウィリアムであった。
「私がジョージを授かったのは」
「その場合の運命とは」
「父と母が死んで間も無くのことでした」
まだ若き日、いやそう呼ぶのすらまだ届かないような十五の時の話だ。その時に彼は両親を失いジョージの存在を知った。その時のことを語っていた。
「弟のことを知り最初は戸惑いました」
「そうだったのですか」
「受け入れるべきかどうか。迷ったのも事実です」
彼とてもそうした葛藤はあったのだ。これからは完全に逃れることはできはしなかったのだ。例え彼といえどだ。それはどうしてもであった。
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