SAO編
第一章 冒険者生活
Ex1.鼠の思惑
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
とは目じゃないくらいには。
この子らもきっとその類だ。
利己的なゲーマーと違い、まだゲームをゲームとして楽むことの出来る純粋さ。そして何も知らないでここまでこれるほどの高いプレイヤースキル。
私はそれを、――《面白い》と思った。
私は初心者援助として、第一層各地の情報を《攻略本》という形で提供しようとしている。実際には道具屋で委託販売を考えているけど。
色々と思うところがあって、一部の者以外には《0コル》で提供する予定だ。まあ、建前は初心者援助だし。
でもその為には、ただベータテスト時代の情報を流出するだけではダメだ。SAOに限らず、今までプレイしてきたネットゲームの幾つかも、ベータと正式サービスでは細部が微妙に変わっているものもあった。つまりは、現在私が持っているベータテスト時のSAOの情報が正しいかどうかを調べなくてはならない。
今日までは何とかなった。先行したプレイヤーたちに上手く聞き出したり、手持ちの情報で交渉したり、知人から買ったりと、想像していたよりもスムーズに情報の収集や、ベータ時代との差異の補完が出来た。
だけど、これ以降は難しいだろうと思う。
理由は多々あるが、一番の理由は……。
最初に街を飛び出したプレイヤー――恐らくその殆どが《元ベータテスター》であろう者たち。彼らはその知識と経験を生かしたスタートダッシュで、多くの利を得た。しかし、それは両刃の剣であることに彼らの多くは気付かなかったのだ。
二週間ほど経った現在、解っているだけでも既に五百人以上が死んだ。
初心者たちの何人かはこう言う。
『経験者であるベータテスターが自分のことしか考えてないから、こんなに多くのプレイヤーが死んでしまったんだ! 悪いのはベータテスターだ!』
つまり、経験者が初心者の面倒を見なかったから、五百人以上も死んだ……と。
「巫山戯るな……っ!!」
と、そいつらに言ってやりたい。
私の調べによれば、死者の半分は、その元ベータテスターだ。
彼らには知識と経験があった。だが、同時にあるものが無かった。
それは、SAOの現状を現実として受け入れる心、といったところか。
こんな状況で先走れる奴らだ。しかも経験者。
そんな奴らが、「このゲームで死んだら本当に死にます」と言われて、それを現実的に考えることなんて出来るのか? ベータテスター全員が、一度以上このゲームで死んで、《生き返って》いる。
死ねばまた生き返れる。無意識に死ぬことに関して緩くなってしまうのも無理は無い。
私も、少し前まではそうだった。実際に人が目の前で死に、そして生き返ってこないのを確認するまでは……。
話は反れたが、つま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ