第六章
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「そうだったんだ」
「御前のその態度を見ればな」
微笑んだ顔をジョージに向けて述べたのだった。
「すぐにわかる」
「そうだったんだ」
「そうだ。それでだ」
「うん」
「あらためて聞こう。その人だな」
念を押すようにしてジョージにまた問うてきた。
「その人が御前の」
「まだ。口約束だけだけれど」
少し俯き気味に兄に述べる。
「それでもね。けれど」
「私に断りを得てからだというのだな」
「わかるんだ」
「わからない筈がない」
こう言ってまた微笑むウィリアムだった。
「私は御前の兄だからな」
「僕の兄さんだから」
「そしてだ」
さらにジョージに言うのだった。ここでさらに。
「御前の目もよく知っている」
「目も?」
「キャサリンさん」
今度はキャサリンに顔を向けた。そして彼女に声をかけたのだった。
「この弟を宜しく御願いします」
「えっ!?」
驚いたのはキャサリンの方だった。今のウィリアムの言葉に。
「今何と」
「兄さん、今の言葉は」
「この言葉のままだ」
微笑みをそのままにジョージに答えるのだった。
「このな」
「じゃあいいの」
「御前の目は知っていると言った」
またこのことをジョージに告げる。
「そうだったな」
「それはそうだけれど」
「だからだ。この人は御前に相応しい」
「僕に」
「いい人だな」
静かな微笑みと共にこう言った。戸惑ったままのキャサリンの顔を時折見る。
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