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少女1人>リリカルマジカル
第四十八話 思春期A
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が、このお腹のすき具合からそろそろお昼の時間だろうか。

 これは1、2時間ぐらいしたら切り上げるかな、と予定を立てていた俺にブーフから質問が入った。どうやら真剣な話っぽいので、一応だが姿勢を正しておく。こいつの場合、真面目にボケてくる可能性があったりするけど。

『司書になったことを後悔はしていないのか』
「へっ?」

 ブーフの言葉に素で声が出てしまった。いきなりどうしたんだ。少なくとも後悔はしていないので、俺は静かに首を横に振ることにした。そんな俺の様子を見て、ブーフはさらに言葉を重ねた。

『ヴィンヴィンが司書の資格を取ったことで、メリットは確かにある。だが、その分ヴィンヴィンの本来の目的から遠回りをしてしまったのは事実だ。司書資格のための勉強や、こうした仕事の依頼を受けることで、本来の目的に使う時間が減っているのだから』

 ブーフの言葉を俺は否定できない。実際、本格的に司書の勉強をし出した8歳の秋から考えても、夜天の書の情報収集はそれほど成果が上がっていない。司書資格を取ったのだからこれから頑張ればいい、というには3年間という期間の差は大きい。

 もしかしたらブーフの言うとおり、司書の勉強なんかせずに調べ続けていれば、進展だってあったかもしれない。夜天の書に関しては、総司令官から最大限のバックアップがあるのだから、司書資格は必ず必要というわけではなかった。母さんたちに隠し続けることだってできなくはない。

 それでも3年前に戻れたとしても、俺は同じ道を選ぶだろう。ブーフが言ったことを……3年前に俺は一度考えているのだから。俺が司書の資格を取ろうと思った一番の理由は、ちゃんとある。この資格がなければ、できないことがあった。それだけのこと。

 ブーフがこんなことを言う理由に、俺はなんとなくあたりを付ける。……全く、気にしなくていいのに。

「……俺の勘違いだったら悪いけどさ。司書になったのは、別にブーフのためだけじゃないからな。色々考えて、俺が選んだことなんだから」
『だが……』
「確かにきっかけはブーフだったと思う。だけど、選んだのは俺だって言っただろ。ブーフを目覚めさせた責任は俺にあるし、友達として、協力者としてブーフの願いを叶える約束をした。なら、俺にできることは最大限にやりたいんだ」


 ロストロギアの不法所持は犯罪であり、見つけた場合は早急に該当物を供出する必要がある。

 これは、学校や管理局から耳がたこになるぐらい聞いた話だ。俺がブーフと一緒に過ごしている間、ずっと気にしていたこと。ブーフがロストロギアだと決まったわけではなかったし、こいつ自身は意思があり、危険性はないと一緒にいたからこそ俺にはわかった。それでもそれは、世間一般的な判断材料にはならない。

 隠し続けられるな
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