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第一話
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[1] 最後
「起きろ!」
けたたましい怒鳴り声で目が覚めた。
「……」
あえて無表情でギシギシと音を立てて軋むベッドから降りた。……『降りた』と言えるのか、というほど低いが。
ベッドから降り、看守に睨まれながら、放り込まれるように置かれた朝食を貪る。
その後、洗面所(と言っても本当に汚い)に行き、顔を洗い、歯を磨く。
少し考え事をしたあと、仕事へ向かう。
仕事と言っても、肉体労働ではなく、軽い事務のようなものだ。
肉体労働は私のような少女には辛い……というのが理由だったはずだ。――勝手に決めやがって。
ここにいる収容者にしては綺麗な服をまとい、看守に左右を囲まれ、仕事場へ向かう。
はあ、とため息をつきたくなる。
看守を左右につけて仕事場へ向かわせなくても逃げやしないのに。どんなけ心配してるの?
普通、こんな収容所から逃げれるわけがないのに。
収容所を取り囲む策、そこへ流れる高圧電流。収容所内、全て含めて4つある、四方を取り囲む監視塔。
「ハルト様。連れてきました」
いつもは乱暴な口調の看守の口調が穏やかになる。それが、相手の偉大さを感じさせた。
「ご苦労様。リリィちゃん?」
その声を聞くだけでぞぞっとする。なんというか……悪寒が走る。
「はい」
とりあいず返事をする。「うん、今日もよろしく」と返答。
「入れ」
看守に命令され、重苦しい扉を押しあけ、管理室に足を踏み入れる。
私の仕事は事務、というよりかは、
「昨日ぶりだね。リリィちゃん。じゃあね、お茶をくんでくれる?」
ただの雑用―――だ。
お茶くみ、補佐、など、時には重要なこともするし、でも基本は雑用。
台所と言えるのか?と思うほど汚く狭い台所に向かう。スイッチを押してから火がつくのに時間がかかるガスコンロも見当たるものの、それは最近は全く使っておらず、電気ケトル、と呼ばれる電気でお湯を沸かす便利な道具を使っている。画期的だな、と思う。
戸棚から紅茶のパックを取り出す。それをティーカップに入れ、お湯を注ぎ、完成。本当に簡単な仕事だと思う。
女の収容者自体少ないのだが、その少ない中でも肉体労働を強いられ、喚き苦しんでいる収容者もいるというのに。
それらを適当にお盆に乗せ、ハルトのもとに持っていく。
「ありがとう」
「……」
「リリィちゃん、喋ってくれたっていいんだよ?舌あるよね?」
「……」
「全く……無口だなぁ……」
はは、とハルトは笑い、淹れたての紅茶を飲む。
「仕事してても、お茶を飲むとリラックスできるよね。紅茶の他にはカモミールティもいいかな?今度、茶葉を買ってくるから淹れてくれるかな?」
「……」
コイツとだけは会話したくない。
こいつが、収容所(ココ)のトップに近い存在だと言うんだから、本当に吃驚(びっくり)する。
いつでもにやに
[1] 最後


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