第四章
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然とした顔で述べた。
「何があってもな」
「では旦那様」
それを受けて執事は一旦姿勢を正した。そのうえで持っていたベルを鳴らした。
「ベルを?」
「すぐにおわかりになられます」
声は微笑んでいた。その微笑みと共に今部屋の扉が開いた。ノックはしたがウィリアムスはここで入れと言うことを忘れてしまっていた。だが今はそれは構わなかった。
何故なら部屋に家にいる全ての使用人達がやって来たからだ。そのせいで何も言うことはできなかったのだ。
「御前達、どうして」
「今ベルを鳴らしましたので」
「それで呼んだのだな」
「はい」
執事はこう答えた。
「その通りです」
「そうか。呼んだか」
「今旦那様の御心は受け取りました」
「私の心をか」
「そうです。確かに」
今度は執事が言い切るのだった。
「その御心。ですから」
「どうするのだ?」
「及ばずながら私達も」
執事が言うとすぐに。他の使用人達も頭を垂れた。しかも一斉だった。全ての物がウィリアムに対してその心を見せたのである。
「御主人様のその思いに」
「御一緒させて頂きます」
「御前達、それは」
ウィリアムは彼等の心がわかった。今何を皆で誓ったのか。それを理解した彼は己の顔が緊張で強張っていくのも感じ取っていた。
「いいののだな、それで」6
「そうでなければここに集まりません」
執事が一同を代表して彼に告げてきた。
「違うでしょうか」
「確かにそうだ」
それは彼にもわかった。
「しかし。これは」
「困難であることはわかっています」
「元よりそれは承知のことです」
彼等はそれぞれの口でこう答えてきた。
「ですが最も困難なのは」
「御主人様の筈です」
「私がか」
こう言われて自分自身のことも考えてみる。しかし彼自身にはその意識はないのだった。既に覚悟を決めているからであろうか。あっさりとしたものだった。
「困難だというのか」
「違いますか?」
「私はそうは思わない」
このことをはっきりと彼等に対して告げた。
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