序文
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も無く飛ばされる!?それはさしずめ、一切の装身具、アイテムなしに救助の見込みがない無人島に放り出されたがごとき出来事であって――――!!
どこかに吸い込まれて、落ちていく感覚。俺は我知らず、悲鳴を上げていた。
***
――――なーんてこともあったなぁ。
俺は真っ白いキャンパスを歩きながら、そんなことを考えていた。
あの後、俺は一見何の変哲もないような世界に転生した。どこかの異世界でもなく、別になにかの小説とか漫画とかゲームとかの世界でもない様に思えた。俺はいたって普通の家庭(実に幸福なことだ。普通と言うのが一番難しい)に生まれ、前世の記憶にさほど頼ることも無く、しかし前世の記憶があるがゆえに多少はつまらない17年間を過ごした。ちなみにこの世界にやってきて、多少不自然か、と思った事と言えば、科学技術が元いた世界より多少発展していることだった。VRゲームとかアミューズメントパークにでき始めている。そいでもって、どこかで聞いたことのある名前の会社があること。確か名前は……そう、《アーガス》。なんとかいう天才科学者を擁していて、数々のヒットゲームを生み出している会社なのだが……はて、どこで聞いた名前だったか……。どうしても思い出せないので、無視することにしている。
それと、前世との違いといえば、姉がいることくらいである。元の俺は一人っ子だったので、きょうだいがいるというのは実に大変なことなのだなぁ、と思ったりもしている。
なぜかと?それは現在、春休み中の俺は、弁当を忘れた姉貴の所までそいつを届けに行かされているからである。全く、うちの母親ときたら自分で行きゃぁいいのに見たいドラマがあるからと言って俺を柄一派しりにする。この辺は前の親と変わんねぇな。と思いつつ、多少安心もする。人間、環境が激変したら苦労する物である。
さて、姉貴の通う工業系の大学に足を踏み入れ、事務のおっさんに姉貴のいる研究室を聞くと、そっちに向かって歩き出す俺。あーあ、面戸くせぇ……。
「帰ったら何するかなぁ……」
現在俺は春休み中だ。受験は来年だし、うちの学校では春休み中に宿題も出ないので、非常に暇である。最近はまってるゲームでもするか。この世界はそういう部分だけは妙に高性能だからな……と、そんなことを考えていたせいか。俺は、すぐ横のドアを開けて飛び出してきた人間に気付くのが遅れた。
向こうさんはかなり勢いがあったせいで、ものの見事に俺と激突。
「きゃっ!?」
「うおっ!?」
どすむにゅぽわん、という謎の感覚と共に、どっし〜ん……と地面にひっくり返る。ああ、母さん謹製弁当が……今日は姉貴の好物だったのに……殺される……とか絶望していると、お弁当をひっくり返させた当事者が起き上がった。
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