プロローグ
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ことに。生物の影の有無ごとき、気にすることは無かったであろうことに。
残念な事に、それに気付くことは無かったが。
――いまこの瞬間までは。
突然の事態だった。
それはオーフィスを襲った――が、それがオーフィスにとっての転機だった。謀らずとも己の状況を進展させるための一手となったのだ。
穏やかな心持だったオーフィスを光が包み込んだ。
◇◇◇□□□◇◇◇
目が覚めた。
状況を確認する。手を見る。変わりない。いつもの小さな手だ。
「なにが、起こった?」
周りを確認する。そこは森の中だった。道となどとは、けして言えないほどに、木々が生い茂った処。暗く薄気味悪い森の中。
先ほどまでの幻想的な光景は、跡形も無い。
「まあ、幻想だったとでも思うか」
それこそ儚い夢だった。そう思うのが最善だろう。それよりも気にしなければいけないことが、己がみにおこっているのだから。
「…………」
また一度、手を確認する。
変わるはずも無い、が変わったように思う。
まるで自分のものとは思えないのだ。他人の視界を盗み見ているようで、気味の悪い。
思考がクリアになっている。状況を整理せんと、頭を回転させる。
生まれは次元の狭間。名はオーフィス。無限の龍神であり、世界最強。目的は静寂。
憶えている。大丈夫だ。
自分は自分。なにも変化は無い。だが――
「今まで、なにをしていたのか。私は……」
まるで動きの無かった、過去の自分に呆れてしまう。キングを取るためには、兵士でさえも動かさなければいけないのだ。そのための駒は、今手元にある。ましてや、女王クラスの存在が、余るほどに存在しているというのに。
「だが、ここからが勝負だ」
戦いはまだ、始まっていない――否。
今、まさしく今。始まったのだ。時間は腐るほどにある。余裕はあるのだ。だからこそまずは――
龍神は、一人の男の下へと、歩み始めた。
◇◇◇□□□◇◇◇
曹操からの呼び出しを受けた旧魔王派の筆頭たちは、渋々と歩いていた。そもそも、何故魔王の子孫たる自分達が、人間からの呼び出しに応えなければいけないのだ。来るべきは向こうであって、己たちではないはずだ。
だが、そうこうしているうちに辿り着いた大広間で、身を震わせた。
「――なっ…………」
なんなんだ一体。この寒気は。
「――来たか」
聞こえてきた声は、あまりにも聞きなれた声であって。それにしても、きいたことも無いような声であった。
「おー、ふぃす…………?」
豪飾にもほどがある椅子に座っていたのは、確かに無限
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