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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百七話 説得
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「……出来ると思うのか? この勝ち戦続きの中、同盟市民が和平を受け入れると思うのか?」
ボローンが発言するとターレルが大きく息を吐いた。

「ボローンの言う通りだ。確かに地球教の存在が有る以上同盟市民も和平という選択肢が有る事は認めるだろう。だが選択肢を認める事と受け入れる事は別だ」
ホアンが突然テーブルを叩いた。
「私が聞きたいのは君達が和平の必要性を認識しているかどうかだ! 実現の可能性がどうかじゃない! どう思っているんだ?」

ホアンが怒鳴る様な口調で問うと二人がそれぞれ必要だと思うと答えた。
「ならば我々は協力するべきだ。状況は厳しいかもしれない、しかし今を逃がせばさらに状況は厳しくなるだろう。手を拱いているべきじゃない」
戸惑っている。実現性に自信が持てないのだ。失敗すれば政治生命を失いかねない事が二人を臆病にしている。トリューニヒトに視線を向けると大きく頷いた。

「和平が必要だと思うなら、私に協力してくれ。私には和平を実現させる成算が有る。最高評議会議長にさえなれば和平は可能だ」
「……」
「帝国のブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯も和平を結びたがっている」
「……」
「これが最初で最後のチャンスかもしれないんだぞ。君達も分かるだろう?」
「……」



『それで、上手く行ったのですか?』
「ターレルもボローンもなんとか協力してくれる事になったよ。それと例の件を話したからね。二人とも驚いていた、これ以上戦争を続けるべきではないと彼らも強く思ったようだ」
トリューニヒトが答えるとスクリーンに映るヴァレンシュタインが頷いた。内密の話しだ、自室から連絡しているらしい。

「まあ何時までも戦争をしているような状況じゃない、そんな事はちょっと考えれば分かる事だ。ただそこから目を逸らしているにすぎない」
『現実を見るのではなく見たいと思う現実を見る……、そういう事ですか』
「そういう事だね。戦争に疲弊している現実では無く戦争に勝っている現実を見ている」
トリューニヒトが首を横に振った。見たいと思う現実か……、確かにその通りだな。

『後はボルテックからの接触待ちですか』
「そうなるね」
『ボルテックにはフェザーン侵攻の言質は与えないでくださいよ。あくまでサンフォード議長失脚の材料を提出させる事が先だと突っぱねてください』
「当然だな」

『議長就任後、改めてボルテックとの交渉の場を設けてください。交渉は私が行います。フェザーンへ攻め込む前に確認しなければならない事があるんです』
トリューニヒトが私とホアンを見た、どうする? と訊いている。
「良いんじゃないか、作戦に関する事なら必要な事だ」
私が答えるとホアンも頷いた。

「良いだろう、君に任せるよ。精々ボルテックをきりきり
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