城島 冥星は人生を謳歌する
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は狼狽し、どんぶり飯を放置し、ようとして全部口の中に詰め込み、咀嚼しながら明子の元へ寄っていく。
「くちゃくちゃ、明子、くちゃ、どうした、くちゃ」
「食いながらしゃべるな」
「明子、どうした?」
「なぁ、冥星、私は、お前たちのお母さんにはなれないのか?」
「初めに言っただろ。俺たちは母親っていう物を知らないって」
「冥星は言うことを聞かない。海星は心を開かない。私はどうしたらいいんだ……」
「とりあえず……一杯いっとく?」
「死ね。まじめに聞いているんだぞ」
こっちだって真面目に話そうとしている。そう言いかけた冥星だが、明子が本気で泣いているところを初めて見たため、己を見つめ返すことにした。
拾われて約二年。とりあえず生活を共にすることに違和感がなくなってきたわけだが。
果たして目の前の女を、自分は母親と認識したことがあっただろうか。
否だ、飯を作るだけの女。寝床を整えてくれるだけの女。あとはただのゴリラとしか認識していない。
これでは明子が悲しむのも自明の理。冥星は深く反省した。
「明子、ごめん、俺……」
「冥星! わかってくれたのか!?」
「これからは、明子のこと、役に立つ女として見ることにするよ」
「……秋坂流、奥義、虎殺し」
「ただのジャーマンスープレックスだろぉぉぉがぁぁぁぁぁ!!」
頭部を激しく損傷した冥星は改めて思う。
デカい女と暮らすのは大変だと。
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