城島 冥星は人生を謳歌する
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テーブルを強く叩きタップタップ。冥星たちの夕食は今日も賑やかである。話題はもちろん、悪名高き学校の問題視である城島冥星と篠崎隼人のボケナスコンビだ。一日一回は教室の外に立たされ、一日一回はグラウンドを走らされ、一日一回はトイレ掃除をさせられるという、まるで学校へ罰を受けに行っているかのような生活を送っている冥星に、秋坂明子は怒りを通り越して呆れてしまっていた。
「冥星、私が編入前になんて言ったか覚えているか?」
「もちろんだ」
「言ってみろ」
「元気で頑張れ――以上」
「以上、じゃない! 冒頭だけだろうが! いいか? 決して問題を起こすことなく、元気で明るく品行方正な学生となり、勉学に励むよう努力しろ、だ」
「努力とか、愚民がやることだ。俺には関係な、が!!」
「クソガキの分際で生意気言ってんじゃない! もう、お母さん悲しくて悲しくて」
「……誰が俺の母ちゃんだよ」
「あ!?」
「アイスルカアサマゴメナサイ!」
理不尽な暴力に対しては断固抗議したいが、目の前の女は実質自分の後継人であり、飯を食わせて寝床を用意してくれている人だ。そんなゴリラに対して多少の恩義を感じないでもない冥星は唯々諾々とその言葉に従うしかない。
「お前、今私をゴリラだと思っただろ?」
「そんなわけ、ないでしょぉぉぉ」
「だったらその胸を叩くようなしぐさをやめろ腹立つ!」
拳骨の雨あられを甘んじて受け入れる冥星。これもすべては飯と寝床のため。こんな暴力女と共に共同生活をしなくてはならない自分の身を呪う。
だいたい初めからこの明子という女からは気品を感じなかった。城島家というスーパーボンボンのお坊ちゃまである自分にとっては愚民にも等しい女だが、どうやら先祖がえりでもしたのか、時々本当に野生動物のようなしぐさをするので始末困る。特に寝ている時なぞ、全裸になりいびきをかき、抱き着いてくるのだ。さすがに死にたくなったので別々の部屋で寝ることを提案したが。
「頼むから、普通に過ごしてくれ……これ以上は私の頭を悩ませるな」
「俺は普通だ。ただ、学校が俺の夢を否定したから断固抗議したまでだ。ありえない。教育機関というのは子供の夢を壊すのか?」
「カリスマニートなんて職業はこの世に、ない!」
ゴリラの顔がゼロ距離で冥星を睨む。さきほどからゴリラゴリラと言っているが、この女、デカいこと以外は至って普通の女である。具体的に言えば胸のデカい、美人だ。冥星にとっては女という存在は、ただ飯を作ってくれること以外に生産性を見いだせないため、どんなに接近されようがどうということはない。普通の男なら彼女との共同生活を喜んで受け入れてくれるだろう。
「ごちそうさま」
「海星、もういいのか」
「いい、病気が移るから部屋にいる。何かあったら呼んで
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