暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
冥王の堕日
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声とともに
「最終期だ」
コロシアイの夜は更けていく。
<i2852|6977>
くすくす、と。
空気に溶け込むような、しかし内包されている生々しいナニカが滴り落ちそうな嗤い声が響く。
《冥王》の戦いを、傍らの森の中から静かに傍観している人影があった。
ソレは全身を毒々しい黄色のフーデッドケープで覆い、顔はフードを深く下ろしたのともう一つの要因で全く見えない。
それは、ピエロのお面。
赤い野球ボールくらいの大きさの鼻と、切れ長の眼と口は三日月状にひん曲がっている。眼の周りには眼がチカチカするような、赤と青のペイントが施されている。
その奥から放射されているであろう視線は、狼ヶ丘で血飛沫を大いに上げながら殺しあう一人の少年に向けられていた。
血のように真っ赤な瞳をもってして、空中に残光を残しながら殺し狂う《鬼》の姿を。
「………いい光景」
誰とも知らずに零れ落ちた声は、お面の下から発せられているせいか金属質なエフェクトが掛かり、男性にも女性にも聞こえた。
しかし、これだけは言える。
その人影は明らかに上機嫌だった。例えるなら、何かを成し遂げたときのような、達成感のようなものを周囲に放出していた。
闇が蠢く。
黄色い人影の背後。大樹と大樹の中間にわだかまる闇の中から、唐突にしわがれた声が発せられた。
「何のつもりじゃ」
その声に、しかしやはり上機嫌さは崩さずに、あまつさえくすくすと嗤いながら、人影は口を開く。
「何が?」
「とぼけるな、下手な茶番劇を見せおって。新たな災禍でも生み出すつもりか?」
疑問に疑問を返し、《声》は怒りを含ませる。
「おぬしが何をしようとも、この城に不利益がない限り、儂は見逃すつもりだった。しかし――――」
圧倒的な怒気をはらんだその《声》は言葉を続ける。
「アレを生み出すとなれば話は別じゃ。儂はこの城の影として、おぬしを裁かねばならん。今一度訊こう。何のつもりじゃ?」
「……………ストックさ」
「ストック?」
疑問を持つ《声》に、しかし視線は戦場から離さずに人影は言う。
「《彼》に何かあった時のスペアプラン………。今は、そんなトコかな」
「
予備
(
スペア
)
………?それとこの茶番劇がどう関係があるんじゃ」
「この劇は、いわば改良実験。あの少年を災禍たらしめる人材に《改造》するために、ね」
歌姫のように、歌い上げた人影は仮面の下で嗤ったように《声》は感じた。
だから、《声》は言う。
心の底からの嫌悪感を言葉にする。
「反吐が出る。人間は
実験動物
(
モルモット
)
ではないのじゃぞ」
「…………あの少年
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