第一章
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屋敷に迎え入れた。弟の名前はジョージといった。彼はすぐに弟に使用人達をつけ面倒を見させた。それと共に自分自身も何かと弟の世話をするのだった。
「そう、これだ」
積み木を自分で手に取って彼に教えたりもしている。
「これをこうやって。わかるな」
まだ言葉を話すことのできないジョージは微笑んで彼に答える。彼と同じ赤い髪と青い目が目に入る。
そして彼が教えた通りのことをしてみせる。彼はそんな弟を見ていつも微笑むのだった。
「ジョージは賢い子だ」
「確かに」
自分の家で執事に話す。執事もその言葉に頷く。
「実にな。あれでは大丈夫だ」
「その通りでございます。それではそろそろ」
「話せるようになってきたか」
「まだ僅かですが」
こうウィリアムに答えるのだった。
「そろそろでございます」
「立つこともできるようになった。後は機を見計らって」
「家庭教師をつけられるのですね」
「そうだ。私が学校にいる間はだ」
「私共にお任せを」
「頼むぞ。幸いにして」
ここで彼は言う。
「私は学校にはここから通える。寮には入らなくて済んでいる」
「本来は寮に入られるおつもりだったのですが」
「仕方ない」
諦めの言葉をそれと同じ顔で出した。
「今はな。父上も母上もおられなくなった」
「はい」
「そして。ジョージがいる」
これが最も大きな理由であった。彼は若き主として振る舞いつつもこのことを決して忘れていなかったのだ。あくまでジョージの兄として側にいたのだ。
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