After days
挿話集
妖精達の凡な日常B
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がさぁ〜、この間それ知って血涙流してたからどうなったかなぁーって」
「残念ながら離れる様子は無いな。ご愁傷さまって言っといて」
「りょーかい」
木綿季がSAO生還者の為の学校に編入して来てから数日が経った。
俺はまだ松葉杖が手放せない状態だが、回復傾向はある様なので近い内に元の生活に戻れるだろう。
セインこと三沢光也とシウネーこと安施恩さんが恋人同士となったのはもう数週間も前で俺が死にかけてから数日後の事だった。
「気持ち悪い」と神医、水城雪螺に言わせる程の回復力で一般病棟に移り、あろうことか(多分意図してだろうが)隣になった姉、桜と頭の悪い悪口の応酬を繰り広げていた時、一足早く退院し、見舞いに来ていた沙良によってその事を知らされた時はやっとか、という思いだった。
「ーーーさて、昼休みももう終わりだし、戻ろう」
「はぁい」
やや不満そうなユウキが立つのを手伝うと並んでゆっくりと校舎に向かって歩き始める。
「そだ、木綿季」
「ん、何?」
「紺野木綿季さんは水城螢の恋人、未来の嫁さんです」
「っ??……ど、どうしたの急に??」
「悪い悪い。だけど、真面目な話な」
「……うん」
さっと晩春の生暖かな風が2人を撫でる。
「水城の家は……古い言い方をすれば『武侠』と言われる一族なんだ。ちょっと違うが言い換えれば任侠、極道みたいなものだ。意味は分かるな?」
「うん」
「もちろん、家を継ぐのは蓮兄だから俺達はあまり関係ないって言えば関係ないけど……近い内に水城と同じ武侠の人達と関係者が一同に会する集まりがあるんだが……そこの絶対遵守の規約によれば「いいよ」木綿季も……って」
「沙良に聞いたよ。ボクも将来『水城』になる人だから、螢と一緒に居たいなら覚悟ておいたした方が良いです、って」
「そう、か」
ーーー覚悟が足りなかったのは俺の方か……。
「……じゃあ頼むよ、木綿季」
「任せて、螢。もうずっと、一緒に居るから」
空を見上げれば東の空は少し灰色に染まって来ている。
穏やかな春は過ぎ去り、暗雲立ち込める梅雨の時期がやって来るのだ。
普段は何ともない左腕の義肢、その接合部がジンと疼く。
それは新たな戦いの前兆であり、闇に隠れていた因縁が再び現れる予言だ。
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