After days
挿話集
妖精達の凡な日常B
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。おそらくその小魚はアイテムの類いだったのだろう。
「見たこと無い種類の魚ですね。レアアイテムでしょうか?」
「さぁ……採取系のクエストはあまり受けた事が無いので、何とも言えませんが……」
「え……道具をお持ちなんですか?」
「いえ、このようなアイテムは道具が無いと入手出来ないのが原則なのですが、ここはVRMMO……しかも《プレイヤースキル制》の仕様ですから。素手で捕る事も出来なくはないんです」
勿論、その裏ワザは生易しい技術ではない。
セインがこの技術を修得したのは少し前にレイが彼に課した地獄修行の副産物…………のようなものだ。
(まぁ、お陰で今役に立つんだけど……)
「ーーー何?」
「うん……ユウキさんとの試合で使った『あの技』を僕に教えて欲しい」
レイは頬を指で掻くと、眉間にシワを寄せながら言った。
「何故?」
「もっと強くなりたいから……じゃダメかな?」
「いや……俺が聞きたいのは何故『あの技』なのか、という事なのだが……」
それだけ言うとレイは何かを言おうとするセインを制し、掛けていた椅子から立ち上がった。
「セインの器用さならあるいは出来るだろう」
「本当かい??」
「……本当にどうした、お前。妙だぞ?」
「え?……いや……そうかな?」
「まあいいがな」
「修行は厳しいぞ、若人よ」と、レイは黒い笑みを浮かべるのだった。
(イメージは『水』……そっと、撫でるように)
湖に膝辺りまで浸かると、スッと両手を水に入れる。仮想の水圧が現実とは微妙に違うそれを感じさせるが、セインは《修行》を仮想世界でしかしていないため、あまり関係ない。
小魚はセインが手を入れた瞬間こそサッと散って行ったが、水面の波紋が収まるにつれ元のルーチンルートを泳ぎだす。彼はそのルートを割り出し構える。
自分から小魚を取りに行くのでは無く、『向こうから飛び込んでくるのを察知しその予測地点に手を添える』。これがレイの《観の目》の原理だ。
「ふっ……??」
セインは自ら彼の手の中に入って来た小魚を岸に向かって弾いた。
陸に上げられた1匹の小魚は数秒間跳ねていたがやがてその動きを止め、セインのアイテムストレージに格納された。
本当に素手で魚を獲れた事に感激した様子のシウネーの拍手に若干照れつつウィンドウを開く。
(アレ……?)
だが、新規入手欄に現れたアイテムは魚ではなかった。
《翡翠魚の鱗》
ランク的には確かにレアものではあるが、特に用途も聞いたことの無いアイテムだった。
ストレージか
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