SAO編
第一章 冒険者生活
7.突然な出会い
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いっぱいいっぱいだった。
ストレージの中は、その三分の一を食べ物やポーション、野営用の生活必需品で、残りの三分の二を迷宮区のモンスタードロップで埋め尽くされていた。もう少しで許容重量を超えてしまう。そうしたら動きが鈍くなるし、こんなモンスターの巣窟ではすっごく危険になるかもしれない。まあ、かと言って、せっかくのアイテムを捨てるというのもなんかアレだし……。
あたしたちはキリュウさんの言葉の意味を理解し、帰還することに同意した。
「……では、いつも通り俺が先頭を歩く。今日はルネリー、殿を頼む」
「あ、はーい! わかりましたっ」
キリュウさんの言葉に挙手して応える。
PTの殿を勤めると言っても、別に先頭のキリュウさんと何十メートルも離れるわけでもないし、キリュウさんの索敵の熟練度も上がり、死角の減った今となっては、特に危険ということもないので、気負わずに勤めることが出来る。
そもそも、キリュウさんは事ある毎に後ろを見たりして、あたしたちのことを気に掛けてくれるので、滅多なことが起こったことはぜーんぜん無い。
あたしたちは、四人がギリギリ横に並べるくらいの幅の迷宮区の通路を、キリュウさん、チマ、レイア、あたしの順に列になって歩き出した。
「――でも、三日目にしてようやく十六階かぁ〜。あと何階で最上階だろ?」
モンスターを蹴散らしつつ八階にまで降りてきたあたしたち。ふと思いついたことを、あたしは独り言のように呟いた。
「外から見た限りでは結構高い塔だったよね。二層の底まで届いてたし……」
「……確か、各層間の距離は百メートルという話だったな」
「えっ……てことは、十六階ってまだまだ全然ってことッスか!?」
各層から次層の底面までが百メートル。第一層迷宮区は、第二層の底にまで届く巨大な塔。つまりはえーと…………うわーんっ、最上階まで何階あるの!?
あたしとチマの肩が同時にガクッと下がる。それはあたしたちのモチベーションを示していた。
「……それについても、情報を集めた方が良いな。流石に三十階以上もあったら、ポーションもそうだが、武器の耐久値も持たないかもしれない」
先頭を歩くキリュウさんが、周囲を警戒しながらそう呟く。あたしたち三人は、それに「はいっ」と同時に応えた。
それから数十分後、迷宮区を無事に抜けたあたしたちは、もう四十五分ほど、両脇を木々で覆われた幅広の道を歩いて、現在あたしたちが拠点としている迷宮区最寄の町、《トールバーナ》に到着した。
トールバーナは、巨大な風車台が立ち並ぶのどかな谷あいの町で、これまで寄って来たエウリア村やメダイの村よりは格段に広い。北門を通って大通りを
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