暁 〜小説投稿サイト〜
Hidamari Driver 〜輝きのゆのっち〜
ゆののシルシ
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のもとを離れ、ゆのと対峙(たいじ)する。
「まあ、いいわ。どうせ、モデルが三人に増えるだけですもの。出でよ、『彩色棺(さいしょくひつぎ)』!」
 すると、吉野家の叫びに呼応するように空間がぐにゃりと(ゆが)み、そこから文字通り色鮮やかな人間大の箱のようなものが現れた。箱はその全貌を顕現させると、独りでに開いて主である吉野家を誘う。彼女は何の躊躇もなく棺と銘打たれた箱に入り、それまで自身の目元を隠していた仮面を外した。
「――アプリボワゼ!」
 吉野家が己の仮面を箱の内側に叩き付けた途端、『彩色棺』が眩い光を放った。光が包み込む影は見る見る内に巨大化していき、そして、その光が収まった時、ゆの達の目の前にいたのは、
「なっ、こ、校長?」
 大きさにしておよそ十メートルの校長だった。不自然なほど縦に長い顔、小刻みに震える体、日の丸の入ったランニングシャツ。その出立ちは紛れもなくこのやまぶき高校の校長のものだったが、肌には金属特有の光沢があり、関節部などはどこか機械を思わせる外見である。彼女達の前にいるのは、巨大な校長ではなく校長の姿を模した巨大なロボットだったのだ。
「私のモデルになってくれるのなら、命だけは助けてあげるわよ。どうしますか、ゆのさん?」
 校長型のロボットから聞こえてくる吉野家の声に、乃莉は背筋が凍るような感覚に襲われた。
「ゆの先輩、逃げて! このままじゃ、ゆの先輩が――!」
「大丈夫。乃莉ちゃん達は、私が守るから」
 ゆのは悲痛な叫びをあげる乃莉を安心させるように柔らかな笑みを浮かべる。その表情に恐怖や焦燥は一切感じられない。その笑顔はただ眩しくて愛らしい、普段と同じゆのの微笑みだった。
「私は戦う。あなたの思い通りになんか、させない!」
 自らの命を脅かそうとする巨大な敵にゆのは物怖(ものお)じせず堂々とそう言い放つ。すると、ゆのが普段から着けている「×」の形に留められている髪留めが光を放ち始めた。
「それは『シルシ』? まさか……!」
 その光を目にした途端、校長型ロボットから吉野家の驚きの声が漏れた。
「まさか貴様――」
 吉野家が言葉を紡ぐ間にも、ゆのの髪留めから放たれる光はその激しさを増す。
「――絵画美少女かぁっ!」
 光度が頂点に達し、それの意味する事態に気が付いた吉野家が校長型ロボットを操ってゆのの行動を阻止しようと手を伸ばすが、それが達するよりも早く少女は叫ぶ。
「――アプリボワゼ!」
 吉野家が校長型ロボットを現した時と全く同じ文言。しかし、ゆのが放つ輝きは吉野家の何倍も眩く、そして、自らに迫り来る魔の手を退けるほど力強かった。
「颯爽登場、絵画美少女!」
 ゆのから放たれた光が彼女を包み込み、やまぶき高校の制服に代わる新たな衣装を作り上げる。それは見るもの全てを魅了する絢爛豪
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