暁 〜小説投稿サイト〜
Yuruyuri4 the NOVELIZATION
Requirement of HERO
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のが」
「違う! 私はそんなこと……!」
「心配しなくても、後でじっくりと味わわせてあげる。私が、あかりがこれまで味わってきた苦しみをね」
主役どころか悪役のように高笑いをする偽あかり。そして、主人公という三文字に釣られて狂信的に偽物の方へ歩みを進める本物のあかり。状況は刻一刻と絶望的な方へと動いていく。
あかりが今更主人公らしさを得たところで、現実に何か影響を及ぼすわけではない。世界が滅ぶわけでもなければ、これまで築いてきた関係が崩れるわけでもない。しかし、京子は目の前にいるあかりが変わってしまうことにどうしても納得することができなかった。
「……違う。あかりは……私の、私達の大好きなあかりは、そんなこと言わない」
それでもあかりの歩みは止まらない。しかし、京子は更に続ける。
「確かに、あかりは存在感がないし、主人公らしくないかもしれない。でも、あかりは誰よりも明るくて、誰よりも優しい。そんなあかりだから、あかりの周りには色んな人が集まってくるし、皆あかりを大好きでいられるんだよ」
かつて親友二人の背中に隠れて泣いていることしかできなかった少女は、誰よりも強く、誰よりも明るく、そして、誰よりも優しい彼女の姿に憧れ、何時か自分もそうなろうと決意した。だからこそ、少女達は笑い合える。過ぎ行く日々を愛しいと思える。そこに主役も脇役もない。あの場所にいる誰もが主役であり、それを引き立てる脇役でもあるのだから――
「他人の不幸を願うなんて。そんなの……そんなの、あかりじゃない!」
京子がそう叫んだ次の瞬間、偽あかりに異変が起こった。
それまで鏡のように彼女と似た姿を取っていた偽物が、巨大化を始めたのだ。変化が進むに連れて、そのシルエットは人間のものから掛け離れていく。あかり本人を自称していた彼女も、結局のところはあの唇お化けと同じだということだろうか。
――我ハ影。真ナル我。
口上と同時に明らかとなったその姿は、怪物と言うよりも先程京子が召喚した人影と似ていた。一昔前に流行っていたRPGの主人公のような鎧とマントを羽織り、手には巨大化した頭身に合わせた大きな諸刃の剣が握られている。あかりと同じ
臙脂
(
えんじ
)
色の髪を
靡
(
なび
)
かせてはいるが、やはり顔の部分はのっぺらぼうに近く、人と呼ぶにはあまりにも無機質で不気味だった。
――貴様ヲ
葬
(
ホウム
)
リ、真ノ主役トナル。コノ赤座アカリガナ!
「その台詞じゃ、主役じゃなくて悪役だっての……」
本性を現して襲い掛かってくる偽あかりに、京子は溜息を吐きながら「愚者」が描かれた半透明のカードを手の平に浮かべる。
(――カッ!)「――ペルソナ!」
カードを握り潰すとガラスのように砕け散り、ミラクるんの姿をした人影が現れる。
――邪魔ダァッ!
京子に向けて振り下ろされた剣
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