LAST MAN
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貫かれたはずの胸には貫かれた跡さえない。
先ほどまでと変わらず、ジェラールは倒れ伏している。
ミッドナイトは震える声で呟いた。
「ボ・・・ボクの幻覚が効かない・・・のか・・・」
(幻覚!?あれが!?)
ジェラールは目を見開いて驚愕する。
ミッドナイトが変貌し、そこから始まった残酷な光景は全て、ミッドナイトの幻覚だったのだ。
驚くミッドナイトに、エルザは告げる。
「残念だが、目から受ける魔法は私には効かない」
エルザは左目を閉じ、右目を開いていた。
奴隷時代に潰された為、エルザの右目はポーリュシカに作られた義眼である。
その為、目から受ける魔法は右目だけで見れば通用しないのだ。両目で見ると半分は効果を受けるが。
「そ・・・そんな・・・ボクは最強なん・・・だ・・・父上をも超える最強の・・・六魔・・・誰にも負けない、最強の・・・魔導士」
震える手を、空に伸ばす。
その手は何にも届かない。
「人の苦しみを笑えるようでは、その高みへはまだまだ遠いな」
エルザはミッドナイトに背を向け、口を開く。
(うう・・・ボクの祈り・・・ただ眠りたかっただけなんだ・・・静かな所で・・・)
ミッドナイトはドッと倒れる。
自分の祈りを思い出しながら。
(これが・・・エルザ・・・)
エルザの実力。
それを目の当たりにしたジェラールは、目を見開いて驚愕する。
「誰にも負けたくなければ、まずは己の弱さを知る事だ」
そう言い、エルザは横顔だけを向ける。
そして、言い放った。
「そして常に、優しくあれ」
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