LAST MAN
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「貴様の魔法には『2つの弱点』がある」
その言葉に、ジェラールはもちろんミッドナイトも目を見開いた。
(2つの弱点だと・・・?このわずかな時間の中で・・・)
この2人が対峙してからそれほどの時間は立っていないはず。
それなのに2つの弱点を見つけたというエルザに、ジェラールは驚愕を隠せない。
「1つ目は魔法や武具を曲げる事は出来ても、人間の体を曲げる事が出来ないという事だ。もし可能ならば私の鎧ではなく体を狙った方が早い」
確かに先ほどから、ミッドナイトはエルザの纏っていた鎧を歪ませる。
が、エルザの体は全く歪ませない。
「フン」
ミッドナイトは鼻で笑うと、エルザに手を翳す。
ミシミシと音を立て、エルザの服がエルザを締め付ける。
「そうだとしても、本気を出せば衣服で君を絞め殺せるんだよ」
が、エルザはそれを意にも介さない。
「2つ目はこれだ」
エルザが言った瞬間―――――
「!」
ミッドナイトの頭上に、何本もの剣が展開した。
そして、降り注ぐ。
「なっ!ぐはァっ!」
「私の鎧を捻じ曲げている間、貴様は剣を避けてかわした」
「!」
「なぜ剣の軌道を曲げてかわさなかったのか」
天輪の鎧を捻じ曲げられ締め付けられていたエルザが投げた剣を、ミッドナイトは身を軽く逸らす様にして避けた。
屈折があるのなら、剣の軌道を捻じ曲げられたはずなのに。
「つまりは曲げられる空間は常に一か所という事だ。自分の周囲か敵の周囲のどちらか一か所だけ。私に魔法をかけてる間は自分の周囲に屈折を展開出来ない」
大量の剣が地面に突き刺さる。
「ぬう・・・!」
(何という、洞察力・・・)
自分の魔法の弱点2つを見事にいい当てられたミッドナイトは唸り、ジェラールはエルザの洞察力に目を見開く。
「そしてこの“悠遠の衣”は伸縮自在の“鎧”。その魔法は効かん」
そう言うと同時に、エルザは腕を動かす。
伸縮自在の言葉通り、エルザの腕は何の問題もなく動く。
「ん?この鎧を含めると、弱点は3つだな」
そして、悠遠の衣は元の形を取り戻す。
ミッドナイトの魔法の弱点を知った今、エルザは有利に戦える状況にあった。
「くそォ・・・あと少しだったのに・・・」
「勝負はついた」
両膝をつき、悔しそうに呟くミッドナイトにエルザは言い放つ。
が、その言葉は敗北からの悔しさの言葉ではなかった。
「あと少し早く死んでたら、恐怖を見ずに済んだのにね」
その瞬間、音が響く。
ゴォーン、ゴォーン・・・と。
真夜中を告げる、鐘の音が。
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