LAST MAN
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ルシアがピタリと足を止めた。
突然止まった事に首を傾げながらも、ティアも足を止めて目線を映す。
「ヴィーテルシア?」
「ティア・・・お前は一体何者だ?」
無表情は崩れない。
が、突然の意味不明な質問に、ティアは溜息をついた。
「何が聞きたいのよ、アンタは。私は私よ」
「そうじゃない」
ティアの言葉を即座に否定し、ヴィーテルシアは見つめる。
紫の目と青い目が真っ直ぐにお互いを映す。
「俺はお前と短いながら行動と共にしてきた。そして狼姿である俺は鼻がいい・・・だから、隠さなくても気づいている」
沈黙が、重くなる。
先ほどまでは苦ではなかった沈黙が、一気に重くのしかかる。
ヴィーテルシアは躊躇いがちに瞳を揺らし、しばらくして意を決したように口を開いた。
「ティア、お前から―――――――」
その言葉の先を、ティアは聞いた。
が、彼女は何の反応も示さなかった。
何故ならば、自分の事は自分が1番よく解っているから。
「―――――――――――飛竜に似た匂いがする」
「おいで、エルザ。君の本気を見せてくれ」
エルザとミッドナイトは対峙していた。
着物のような服を身に纏い、薙刀を構えたエルザにミッドナイトは余裕の表情で呟く。
「・・・といっても、ボクに攻撃は当たらないケドね」
その言葉に、倒れるジェラールは考える。
(そうだ・・・奴の屈折はいかなる攻撃も曲げてしまう)
ジェラールはそんな風に考えるが、エルザは考えてる間に動いていた。
ダッと地を蹴り、一瞬にしてミッドナイトの目の前に迫る。
「!」
(速い!)
その素早さはティアといい勝負だろう。
一瞬の事にジェラールは目を見開く。
が、ミッドナイトの余裕の表情は崩れない。
「いくら素早く動けても、ボクの屈折は破れないよ」
ミッドナイトはそう言うが、エルザはお構いなしに薙刀を振るう。
そして薙刀は当然のようにカクンとミッドナイトを避けた。
「ホラ」
だが、次の瞬間――――――
「!」
エルザは薙刀を持っていない左手で、ミッドナイトの胸に掌底を打ち込む。
ミッドナイトの表情が崩れ、ジェラールが目を見開く。
そしてそのまま、ミッドナイトはエルザの攻撃によって壁へと吹き飛ばされ、叩きつけられた。
「なに・・・」
先ほどまで一撃も当たらなかった攻撃が、何の問題もなく当たる。
呆気にとられるミッドナイトに向けて、エルザは左手の人差し指と中指を立てた。
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