第九章
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はなかったのだという。
「そういう人達に気付いてね」
「人だすけを」
「お金をあげて病院やお薬を紹介したり」
「ええ」
そういうことまでされたのだという。思えばゴミ拾いから大変な動きである。
「家庭の不和には相談に乗ったりね」
「それもですか」
「気付けば。あと一月もなかったかな」
目を遠くにやられてきた。
「もうね。本当に」
「ではそろそろ御身体が」
寿命が近いのならばと。お話を聞くうちに思い尋ねた。
「いや、それがね」
「違ったのですか」
「そうなんだ。全然疲れを感じなくて」
「またそれは」
「不思議だよね」
「はい」
本当にそう思うしかなかった。死ぬまであと一月を切ったというのにそれは。どう考えても有り得ないとしか言いようのないことであった。
「何故でしょうか」
「それもね。わかったんだよ」
「それもですか」
「そう。疲れを感じないのは確かに不思議だったよ」
三神さんはまた仰った。
「顔もやつれていたのがむしろ頬が膨れてきて」
「頬が!?」
「血色もよくなってきたんだよ」
これまた不思議なことであった。死期が迫っているのにそれは。話を聞けば聞く程わからなくなる、そんなふうになっていた。僕は何が何なのかわからなくなってしまっていた。
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