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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
08.古代兵器覚醒
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みを浮かべる。
「ああ、そう言えば逃げて来る途中でこんなのを拾ったんだが」
足元にあった濡れている何かをこちらに投げる。
ぐしゅ、と湿った音を立てながら転がったのは、高校の制服を着た男子生徒。
ツンツンに逆立てた短い髪と、首のヘッドフォンに見覚えがあった。
「や、矢瀬!?」
「あれ、もしかして知り合いだった?」
ヴァトラーは愉快そうに笑う。
なぜ矢瀬がこんなことになっているかは、考えずともわかった。
再び、彩斗はヴァトラーを睨みつける。
「さて、と。まあ、安心してくれ。ナラクヴェーラはボクが責任を持って破壊する」
「安心できるかっ。おまえ、最初からあの化け物を相手に暴れたかっただけだろ!」
古城はヴァトラーの思惑にようやく気づいて、怒鳴る。
するとこのタイミングで間の抜けた着信音が響いた。
「ああ、くそ。誰だよこんなときに──」
ぼやきながら古城は携帯を取り出し、液晶を見て叫ぶ。
「浅葱か!?」
浅葱の言葉を聞き、彩斗は古城の耳元に顔を押し付ける。
『……わたしです、先輩』
「え!? 姫柊?」
「無事なの、雪菜!? 今どこにいるの!?」
すると紗矢華も古城の耳元へと接近する。
無事です、といつもの生真面目な口調で雪菜が答える。
『今は“オシアナス・グレイヴ”の中です。藍羽先輩や凪沙ちゃんにも怪我はありません』
「そうか。とりあえず、こっちにいるよりは安全そうだな」
古城は脱力するような安堵の声を洩らす。
雪菜はそれに対して呆れた息を吐く。
『やっぱりナラクヴェーラの近くにいるんですね』
「あ、ああ」
『またそうやって勝手に危ない場所に頭を突っ込んで。先輩は自分が危険人物だという自覚があるんですか。紗矢華さんが一緒にいて、なにをやってたんですか』
「いや、それはなんていうか、まさかあれが出てくるとは俺たちも思ってなくて」
「ゆ、雪菜たちが誘拐されたっていうから心配で……」
明らかに機嫌を損ねている雪菜に古城と紗矢華が苦しい言い訳をする。
「まぁまぁ、姫柊もそんなに怒るなって」
彩斗の声に再び呆れたような息を吐く。
『緒河先輩もいたんですね。先輩も自覚がありますか。先輩の眷獣も辺りに被害をもたらさないというわけじゃないんですよ』
でも、ちょっとよかったです、と雪菜は安堵したような声を洩らす。
『先輩がた、ナラクヴェーラが市街地に近づかないようにしばらく足止めをしてください』
「「……足止め?」」
『はい。藍羽先輩が今、ナラクヴェーラの制御コマンドを解析してくれてます。それが終われば、現在の無秩序な暴走は止められますから
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