打楽器奏者、隷属する
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えていき・・・ドラム一式になる。
「えっと・・・ガロロさん、あの太鼓は・・・」
「ああ。アレはロロの至高の一品だ」
「えと・・・なんですか、」
それ、と続けることは出来なかった。
なぜなら・・・何も喋れないほどに情熱的な、力強いドラムの音が聞こえてきたのだ。
さっきまでのロロロちゃんの態度からは考えられない、力強く、激しいドラム。
かと思えば、優しく包み込むようなドラムも聞こえてくるのだが、油断した隙に一気に力強くなり、幾度となく衝撃を受ける。
周りを見ることは出来ないが、おそらくラッテンさんにユイちゃん、レヴィちゃんも同じように一言も発せないでいるとおもう。いや、できるはずがない。
僕の音楽が奇跡を歌い、ラッテンさんの音楽が人を誘惑し、ユイちゃんの音楽がその強い欲を体現するのだとすれば、ロロロちゃんの音楽はその誰とも違う。
猫のような俊敏さ、隙を逃さない容赦のなさ、自分より大きな相手にすら牙を向く肉食獣の力強さを、体現する音楽なのだ。
「イエーイ!!」
そして、音楽が終わると同時にロロロちゃんは一切の曇りのない満面の笑みで、ステッキを持った片手を挙げながら、そう叫んだ。
そして・・・
「あ・・・」
少し間をおいて冷静になったとたんに、ロロロちゃんは顔を一気に紅くした。
そしてそのまま、顔を抑えて地面にうずくまる。
えっと・・・僕たちはどうしたら・・・
「あー・・・ま、こうなるわな。予定通り」
「・・・ガロロさん、アレは?」
「・・・簡単な予想だと、音楽を奏でている最中は性格が変わる、ってところかしら?」
「おう、ラッテンのが正解だ」
あー・・・まあ、分からなくいはないけどね。
僕も、少しそう言うところあるし。
ステージに上がってからは、基本的に別人になるくらいのつもりではいる。
「で、本人はそんな状態の自分を見られるのがかなり恥ずかしいんだよ」
「それであんな感じに・・・あの・・・ロロロ、ちゃん?」
「・・・はい?」
僕から声をかけると、ロロロちゃんは顔を抑えながらも、少し指の隙間を開けてこちらを見てくれた。
「あの、さ。恥ずかしいのは、まあ分かるんだけど・・・僕も、ステージ下りてからステージでの自分を思い出すと、少し恥ずかしくなるし」
「あなたも、なんですか?」
「うん。こう・・・後から自分が何をしてたのかを考えると特に、ね」
そこでようやく、ロロロちゃんがしっかりとこちらを見てくれたので、僕も膝に手を当てていたのをしゃがむ形に変えて、出来る限り目線を合わせる。
「だからさ、恥ずかしがらないのが無理なのも出ないように我慢するのが無理なのも分かるし、共感できる。その上で一つアドバイ
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