SAO編
第一章 冒険者生活
6.終戦の夜に想う
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
期待しているのか、とも思いますが、きっとこれもネリーの良いところ。どんな状況でもネリーは楽しもうとする。それは素直に羨ましいと思います。……ちょっと現実と仮想を混同視し過ぎてる気もしますけど。
「…………」
ふと二人の間に訪れる沈黙。私たちの呼吸音しか聞こえない、けれど決して居心地は悪くない空間。
私はネリーと一緒に窓の外を眺めながら、あの戦いの後のことについて想いを馳せました。
あの森側の門での攻防の少し後、クラウドさんからキリュウさんへメッセージが届きました。
『キリュウくん、こちらは終わったよ。なんとか死人も出さずに済んだ。リックさんが救援に駆けつけてくれなかったら危なかったけどね。それで、そっちはどうなったんだい?』
それから何度かクラウドさんとメッセージのやり取りをして、一度全員、村長宅に集まろうということになりました。
私たち四人は、度重なる激戦の疲労で重たく感じる体を、引き摺るようにゆっくりと村長宅へ向かいました。ですが四人が四人とも、その疲労とは正反対に穏やかな雰囲気を纏っていました。今度こそ戦いは終わったんだ、という確信に、張りつめていた空気が緩んだんだと思います。
「…………来やがったな。さっそくだが説明しちゃくれねぇか?」
私たちが村長宅の前に着くと、既に他の人たちは集まっていたようでした。そして、イの一番にキリュウさんに向かって質問を投げつけるリックさん。リックさんは、どうして戦いの途中で抜け出したのか、どうして森側の門で戦ってたのか、などを矢継ぎ早に訊いてきました。
激しい戦いの忙しさで、私もネリーもチマもそのことをすっかり忘れていましたが、確かに気になることではありました。
他のみなさんも話は聞いていたのか、キリュウさんが話し出すのを静かに待っていました。
「…………あの時は……」
そうして話し始めたキリュウさん。
初めて違和感を感じたのは、村長さんに会いに行く前。エウリア村に着く前に戦った《ロウア―ゴブリン》が、最初の一匹以降出てこなかったことに。次に対策会議でいろんな人の話を聞いて再び違和感を感じたこと。ずっと感じていたそれが戦いの最中にとある推測に変わったこと。今までの戦いを見て、敵が二十匹を切ったあの状況なら、私たちとリックさんPTだけでも大丈夫だと判断して確認に向かったこと。そして、その推測が当たってしまったこと。
キリュウさんの話に対する反応は人それぞれでした。
まず、疑う人。持ち場を離れてからのキリュウさんの戦いを知っているのは、私、ネリー、チマのキリュウさんと最初からいた三人しかいません。本当に戦っていたのか、逃げたのではないか、と疑問をぶつけてくる人も当然いました。
ですが、一緒の持ち場
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ