暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
嘆きの歌
[1/5]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
何を言われたのか、一瞬分からなかった。
言葉や単語にも満たない音の羅列が、唇と唇の隙間から漏れたような気がしたが、それを脳が認識することは叶わなかった。
数秒掛けて唇の痙攣をどうにか抑え、それでも震えている言葉を吐き出す。
「…………何言ってんだよ、リータねーちゃん」
その言葉に、矢車草の名を持つ女性は、たははと笑う。
こんな状況でも、屈託なく笑う。
こんな状況でも、明るく笑う。
いつものように。
いつものように。
「ッ!そ、そうだ!別にここで全員殺さなくてもいいんだよ!ここから逃げて、主街区……圏内に逃げ込めば…………。そ、そう!毒のダメージもキャンセルされるし!」
アンチクリミナルコード圏内、通称《圏内》ではプレイヤーはシステム的に保護されており、所からの落下やプレイヤーの攻撃などいかなるダメージも無効化される。各種の毒アイテムも一切機能せず、アイテムを盗むことも不可能である。
しかし――――
「ううん……」
笑ったままの顔で、リータは首を横に振る。
「お姉さんの……カーソル、………見て」
「か……カーソル?」
顔に集中していた視線をゆっくりと上に移し、頭上に据えられている彼女の三角形のカーソルを――――
「な……………」
音もなく絶句する。
彼女のカラーカーソル。
SAOでの、あらゆる動的オブジェクトはそれぞれのカラーカーソルを所持している。モンスターならば白にほど近いペールピンクから血のように濃いダーククリムゾンといった赤色系統。
そして、プレイヤーには――――
グリーンと、オレンジ。二色のカラーカーソルが与えられている。
一般プレイヤーに与えられているのは前者、グリーンだ。普通にモンスターを狩って、普通にアイテム類を買って、普通に生きている人々に与えられる、普通なもの。
そして、もう一つ。
フィールド域内にて、前述のグリーンカーソルを有しているプレイヤーのHPを減少させた者に与えられる、最も忌むべき称号。
犯罪者
(
オレンジ
)
カーソル。
自分の細っこい腕の中に納まっている女性の頭上には――――
毒々しいオレンジに染まったカーソルが浮かんでいた。
「な………んで」
唐突に脳内に湧き上がる、記憶の嵐。
そもそも、どうやって彼女はこの場に現れた?
いや、もっと正確に言えば、どんな動作をして皆の注目を集めた?
「あ…………」
手元に視線を移す。
さすがに付けられた傷はもう跡形もなく消えてしまっているが、さすがに数分前に受けた攻撃くらいのことは覚えている。
リータは、神速の勢いで剣戟を交差していたレンとノアの戦いの最中。短剣を投げつけて同士
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ