暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
レクイエム
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み通り、ノアは動いた。リータを攫い、人質にしようとし、そして失敗した。

勝てる。

そう思った。

これほどに集団戦に特化したギルドだが、やはりその中でリーダーが一番強いという事に変わりはない。この【狂った幸運(ドラッグ・ラック)】のみならず、SAOに存在するほとんどの戦闘ギルドはそういう構造をしているのだ。

無論、コネが多いとか人付き合いが上手いなどといった理由でギルドマスターが据えられているギルドも、ないことはない。もともと、SAOにログインしているプレイヤーの九割ほどは、重度のネットゲーマー。世間と折り合いを付ける者が重宝されるのも、仕方がないことかもしれない。

しかし、それはあくまで一部の例。大半は、弱肉強食の実力主義だ。少しでも長より力が上ならば、その者が次世代の担い手となる。

そんな者が倒されれば、この戦闘の重要なターニングポイントとなるのは明白だ。

動揺を生み、混乱を呼び、やがて戦意喪失を招くことになる。

放って置いても、味方同士で勝手に崩壊していくかもしれない。

だが――――

勝利を確信するリータの前に突如として現れた、不確定因子。

敵には見えない。

もしドラグラのメンバーだったのならば、リーダーが殺されようとしている状況を、あんなに平静に、冷静に見る事ができるものなのだろうか。

あんな

檻の中で戯れる鼠を見るような眼で。

ゾグッ、と。

リータの背筋に悪寒が走る。

そのプレイヤーの手には、武器らしきものは見えない。つまり、攻撃の意思はないというの事だろうか。

だとしたら、何でこの場に現れた…………?

理解できないことに、脳が悲鳴を上げ始める。なぜ、なんで、どうして。

分からない。

解からない。

わからない。

目を見開いて硬直するリータの前で、そのプレイヤーはスッと顔を上げた。

眼が合った。

お面の向こうにある眼は、何の感情も浮かんではいなかった。ただただ、冬の湖のように静かだった。

しかし、その奥にナニカ。リータには形容できないナニカが、潜んでいるような気がした。

形容できない。しかし何故か、身に覚えのあるような感情。

誰でも、一度は心の奥底で浮かべたことがあるかもしれない感情。

「あなた…………」

その言葉の先に、何を言おうとしたかは分からない。

しかし、そうリータは言った。

だが、突如として現れたそのプレイヤーは、早々とリータから目を逸らし、目の前のレンを見据える。

ゆらり、と右手が挙がる。

まるで、見えない包丁を振り下ろそうとしているような、そんな構え。

そこで、とある女性は見た。

そのプレイヤーの手の中から、アイスピックほど
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