第五章
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「さて。今日は男か女は」
「力を抜いているんだね」
「道に力はいらないさ」
その笑みのままで彼に述べる。
「そんなものはね」
「こだわりは必要でもかい」
「そう。それでも」
一呼吸置いて。それからまた出す言葉は。
「固執はしない」
「あくまで柔らかくかい」
「硬くて遊べるかい?」
そうも言うのだった。
「遊べないだろう?そういうことさ」
「わかりやすいね」
「遊びはわかりやすいんだ。けれど道だから」
「行くには覚悟がいるのか」
「そういうことさ。君にとってそれは酒だな」
そのビールを見て言う。見れば彼はもうかなり飲んでいた。顔が真っ赤になっている。
「まあね。一生飲んでいたい」
「身体を壊してもかい」
「これで壊れるなら本望さ」
大村と同じことを言う。違うのはその対象だけであった。
「僕もそう思うよ」
「いい言葉だ。しかもいい顔になっているよ」
「それでもそっちの遊びはしないよ」
「別にいいさ」
大村はそれをよしとした。別にそれで構わなかった。
「君がそっちの趣味はないのもわかってるしな」
「そうか」
「じゃあ。今日は」
「そろそろ行くのか」
「うん」
にこりと笑って友人に告げる。
「これでね。それじゃあ」
「また話を聞かせてくれよな」
こうして大村はその場を後にした。友人はそれを見送って思うのだった。
「酒にしろ男にしろ女にしろ」
道について思う。
「どれにしろこだわりを持ってしかも柔らかくか。成程な」
そう呟いてビールを飲む。明日また大村から聞く話は何だろうと思いながら。それを妙に楽しく思いながら酒を飲み続けるのであった。
色と酒 完
2007・11・1
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