オリジナル/未来パラレル編
第9分節 "ミッチ"と"光実"
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ムユニフォームではないし、紘汰やザックと同じく9年分の年齢が顔に出ている。
「紘汰さんならいつでも。舞さんも喜びます。――咲ちゃんも、いらっしゃい」
「こ、こんにちは。ミッチ、くん」
光実はキョトンとして咲を見返した。
「電話で話したろ。今の咲は覚えてないんだ」
「本当だったんですね……いえっ、疑ってたわけじゃないんですけど」
「分かってる」
「あの、あたし、変なこと言った?」
「いや、懐かしい呼ばれ方したなって。咲ちゃん、僕のことは『光実くん』って呼んでたから」
「じゃああたしも光実くんて呼ぶっ」
すると光実と、さらに紘汰までおかしげに笑った。
「な、何よっ」
「や、そういうとこ、咲ちゃんだなーって」
「記憶がなくても咲ちゃんは咲ちゃんですね。その切り替えの早さ」
「……なんか悪口言われてる気がする」
「褒めてんだよ」
「むぅ」
唇を尖らせながらも、屈託のない光実の態度は心地よかった。
記憶喪失になってから、咲の顔を見るとザックも晶も哀れむ表情をしたから。こういった明るい会話が初めての気がした。
ふと咲は視線に気づいて周囲を見回した。
逃げていた通行人が遠巻きにこちらを指差し、興奮気味に囁き合っている。囁きが自分たちに向けられたものか、はたまた先ほどのインベスにかまでは、咲でも分からなかった。
その様子に、光実が溜息をついた。
光実は少しばかり離れた場所へ行き、路上に放り出されていたエコバックらしき物を肩にかけて戻ってきた。
「立ち話も何ですから、僕んちに行きましょう」
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