桐ケ谷家
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全中ベスト8だっけ?凄いよな・・・」
「ああ・・・本当に・・・」
そう言っている和人の顔は何処か悲しげだった。
「・・・直葉ちゃんのこと、まだ気にしてるのか?」
「まあな、努力はしてるんだけど・・・」
「そうか・・・和人、そこの水、取ってくれるか?」
俺はテーブルのに置いてあるペットボトルに入った水を指差した。
「えっ?ああ、ほいっ」
「サンキュ」
俺は水の入ったペットボトルを持って直葉ちゃんのいる縁側に向かった。
「せいっ!」
直葉ちゃんは竹刀を降り終わると息を整えた。
「直葉ちゃん!」
「ふぇあ!!」
直葉ちゃんは随分と間抜けな声を上げた。
「だ、大丈夫?」
「えっ!?ああ、うん・・・」
「はい、水」
「あ、ありがと・・・」
水を受け取った直葉ちゃんは縁側に座り水を飲んだ。手元に置かれた竹刀を見て俺は直葉ちゃんに尋ねた。
「ねぇ、その竹刀重い?」
「真竹だから重いはずだけど・・・」
「ちょっと貸して」
俺は直葉ちゃんから真竹の竹刀を受け取ると片手で軽く振ってみる。
するとある違和感に気付く。
「・・・軽ッ」
「えっ!?うそ!?」
「家にある竹刀よりは軽いかな・・・1.2キロ程・・・」
ボソッと呟いたその一言に直葉ちゃんは愕然とした。
「に、2キロ!?」
「おお、いい反応!」
「いや、そうじゃなくて!」
「まあ、確かに居合い用の刀は900gあるからな・・・十分重いか・・・」
「お前、一体なんつーもん振ってんだよ・・・」
そう言って和人も竹刀を振ると、
「確かに軽いな・・・」
「お兄ちゃんまで!?」
「いや、イメージというか、比較の問題というか・・・」
そう言って和人は先ほど直葉ちゃんが飲んだペットボトルに口をつける。
「何と比べてるのよ・・・」
直葉ちゃんはボソッと呟いた。
水を飲み終えた和人は直葉ちゃんにある提案をした。
「なあ、ちょっとやってみないか?」
「やるって・・・試合を?」
「おう」
「ちゃんと防具つけて・・・?」
「うーん、寸止めでもいいけど、スグに怪我させちゃ悪いからな。じいさんの防具があるだろう、道場でやろうぜ」
「ほーお、ずいぶんとブランクがあるんじゃございません?全中ベスト8のあたし相手に勝負になるのかな〜?それに・・・」
最初はニヤリとしていた直葉ちゃんは表情を改めた。
「体のほう、大丈夫なの・・・?無茶しないほうが・・・」
「ふふん、毎日ジムでリハビリしまくってる成果を見せてやるさ」
和人はにやっと笑うと空になったペットボトルを握り潰した
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