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色と酒
第四章
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みから見下ろすように述べた。
「結局はな」
「忘れているって言葉も気になるがわかっていないのか」
「ギリシアがあったじゃないか」
「ああ、あれか」
 ここで言うギリシアとか古代ギリシア文化である。言うまでも泣く彼らにとっては文化の源泉の一つである。言うならば柱の一本なのである。
「あの時代は男色は普通だったな」
「そうらしいな」
 これはギリシア神話にもはっきりと書かれている。男同士の恋愛が普通の文化であったのだ。ここは日本と同じであるが当然違う部分もある。大村が言うのはその違う部分なのである。
「しかし。そこだ」
「そこか」
「彼等は女を嫌ってだから男を愛していた」
「それは君とは違うね」
「全く違う。それもまた僕に言わせれば愚だよ」
 ワインと一緒に頼んであったチーズを食べる。その独特の歯触りと匂い、淡白な味を楽しんだ後でまたワインを口に含むのであった。
「実に愚かだ」
「女も同時に愛してこそか」
「そうさ。そんなことをするのなら男も止めた方がいい」
 そう彼は持論を述べる。
「何の意味もないことさ」
「だから彼等は色がわかっていないのか」
「いいかい、君」
 ワインのグラスを右手に持ち。友人に対して述べる。

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