第三章
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だと。こだわりは持つべきだがそれに固執してはかえって道が狭くなり充分に味わえなくなる。彼は今そのことにも気付いたのだった。
「まあ僕は酒に関しては」
「ワインが一番かい?」
「うん」
友人に対してまた頷いてみせた。
「やっぱりね。ただし」
「ただし?」
「ワインといっても色々あるものさ」
くすりと笑って友人に告げた。その顔がまたどうにも知性と無邪気が一緒にあり実に魅力的だ。彼のこうした笑顔が男も女も魅了するのだろう、友人はその笑顔を見て思った。
「赤もあれば白もある」
「そうだね」
「その赤も白も一つじゃない」
それについても言及する。
「かなりの種類があるからさ。それを一つ一つ楽しんでいくことこそが」
「楽しみなんだな」
「そうさ。それを考えるとワインだけでいい」
「成程」
友人は今の彼の言葉にまた頷いた。
「だから君はワインだけでいいんだ」
「時々ビールも飲むさ」
少し笑ってこう述べた。これは本当のことである。
「日本酒もね。けれどメインはやっぱりワインだ」
「色と同じで」
「そう。そう考えるとわかりやすいな」
彼自身それを感じていたからこその言葉だ。
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