TURN133 隠された航路その十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「堅物ですから」
「あっ、やっぱりそうなんだ」
「あの方の堅物さもまた日本屈指です」
「ううん、折角の美人なのに勿体ないなあ」
「美人と評判ですが近寄り難いので」
だからだというのだ。
「声をかける方はいません」
「というかどんな奴があの人と結婚出来るんだよ」
フランスはこの疑問についてあえて問うた。
「要塞みたいな人だろ」
「あの方に釣り合う方が」
「武芸十八般の達人でしかも下手な文化人より文にも秀でている人にかよ」
「はい、そうした方なら」
「いねえだろ」
一言でだ、フランスは言い切った。
「そんな超人は」
「うん、いないよね」
イタリアもフランスに応えて言う。
「まずね」
「タイプは違うがレーティアさんと同じ位レベルが高いぜ」
レーティアはまさに万能の天才だ、それに対して山下は常に努力を怠らない秀才タイプだ。だがそれでもなのだ。
「いねえだろうな、そんな相手」
「若しくはあれかい?」
南雲はイタリアを見てから言った。
「もうどうしようもない困ったちゃんかね」
「ああ、こいつみたいなのか」
フランスも南雲の目に気付いてイタリアを見てから述べた。
「弱くてお馬鹿でかよ」
「鍛えずにはいられない相手とかね」
「えっ、俺鍛えられるの嫌だよ」
イタリアも気付いて怯える顔で応える。
「武芸も学問も」
「しかもあの人厳しいしな」
「そうだよ、絶対嫌だよ」
「実際あの長官さんは厳しいよ」
南雲もこのことは否定しない、山下の清廉潔白な厳格さは海軍の間でも恐怖の様なものとして知られているのだ。
それでだ、こう言うのだ。
「鍛えることについては鬼だよ」
「鬼なんだ」
「ああ、スパルタだよ」
まさにそれだ、山下は。
「陸軍さんの軍規軍律と訓練の激しさは見てるね」
「ああ、士官学校も見たよ」
フランスは日本帝国陸軍士官学校の話をした、言うまでもなく日本帝国陸軍の士官を育成する機関である。
「朝から晩まで息を抜く暇がねえな」
「あれがなんだよ」
「陸軍なんだな」
「そうなんだよ」
南雲はこうフランスとイタリアに話す。
「海軍も相当だがね」
「陸軍はそれ以上なんだな」
「あの長官さんになってから余計にね」
厳しくなったというのだ。
「だからちょっとでも駄目駄目だとね」
「鬼の様に鍛えなおされるか」
「そうだよ」
まさにそうなるというのだ。
「凄いところなんだよ」
「じゃあやっぱりあの長官さんとはな」
釣り合う人間はいない、フランスは思った。
「誰も無理か」
「難易度は相当高いです」
小澤はこうも言う。
「攻略不可能でしょうか」
「俺には無理だな」
「俺も、かなり」
フランスは肩を竦めさせイタリアは怯えている。
「あ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ