TURN133 隠された航路その七
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「見ているだけで」
「だろ?仕方がない奴なんだけれどな」
弱い、しかもいい加減だ。確かに仕方がないと言えば仕方がない。
だが、だ。それでもなのだ。
「悪い奴じゃないからな」
「それでフランスさんはイタリアちゃんの悪口はあまり言わないのね」
「結構弱いとかお馬鹿とか言うけれどな」
だが、というのだ。
「愛嬌があるからな」
「というか攻めて返り討ちっていうのがな」
田中はあくまでそのことを言う。
「イタリアさんらしいけれどな」
「うう、だからそれは」
「まあいいか」
田中もこれで終わらせることにした、相手がイタリアだからだ。
「イタリアさんだしな」
「というかあまりいじめないで欲しいな」
「安心しろよ、俺は強い奴と戦うけれどな」
だが、なのだ。田中は。
「いじめとかは大嫌いなんだよ」
「そもそも武人が弱者を虐げてどうするのか」
平良もこのことについては田中と同じだ、毅然として言う。
「その様な輩は切って捨てるべきである」
「それは極端じゃないかな」
「極端ではありません」
平良らしくだ、イタリアにもぴしゃりと返す。
「そうした不逞の輩は武人として許してはならないのです」
「だからなんだ」
「植民地のエイリス貴族達も」
「斬るんだ」
「実際は一人も斬ってはいませんが」
だが刀は抜いている。
「弱者を虐げ悦に入る輩や私腹を肥やす輩は許せませぬ」
「何かそれ言うとな」
フランスは耳が痛い感じだった、平良の今の言葉に。
「俺もな」
「そういえばフランス殿もかつては」
「ああ、植民地持ってたからな」
マダガスカル、そしてセーシェルがそれだ。
「イギリスのことは言えないんだよ」
「もう植民地の時代ではありません」
小澤がぽつりと述べる。
「経済圏の時代です」
「経済圏なあ」
「俺達も作るからね」
フランスもイタリアもここでお互いの顔を見て述べた。
「ドクツが中心か」
「やっぱり凄いものになるよね」
「ローマ帝国みたいなものか?」
「祖父ちゃんみたいな?」
「北欧も東欧も入るからあの時以上か」
かつて欧州そのものと言ってよかったローマ帝国以上だというのだ、これから出来る欧州経済圏の規模は。
「相当なものだよ」
「そうなるんだ」
「それでも太平洋には足元にも及ばないがな」
その規模において、というのだ。
「欧州の再建もあるからな」
「本当に大変なのはこれからなんだね」
「絶対にな」
フランスは腕を組み微妙な顔でイタリアに述べた。
「戦後だよ、本番は」
「ううん、戦争に勝ってハッピーエンドとはいかないね」
「ハッピーエンドだけなら世の中は楽だろ」
「これ以上はないまでにね」
「映画はハッピーエンドでもバッドエンドでも終わり
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