暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
オリジナルストーリー 目覚める破壊者
54話:現実となる悪夢
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丸くした。

「まさか士…お前が残る気じゃ…」
「そのまさかだ。この状況にうってつけのライダーがいる。そいつでなんとか―――」
「バカ言え!ここであれだけの数だぞ!?ケータッチがない状態で、アレを抑えられるのか!?それにお前言ったよな?さっきの回復はあくまでも応急処置程度だって。だったらお前だって―――」

「ヴィータっ!!」

「―――っ!?」

士君のいきなりの怒声に、ヴィータちゃんも私も体を震わせた。

「…もう一度だけ言う。なのはと他の奴ら連れて…さっさと逃げろ」
「……で、でも…!」
「いいから早く行けっ!!」
「っ……!」

ヴィータちゃんは士君の言葉に、奥歯をギリッと鳴らした。そして振り返って、黙って私を抱えた。

「ヴィ、ヴィータ…ちゃん…」
「なのは、少しだけ我慢しててくれ」

ヴィータちゃんはそれだけ言って、また顔を士君に向けた。

「…必ず、戻っからな……」
「……あぁ、待ってる」

それだけの言葉を交わして、ヴィータちゃんは私を抱えたまま空を飛んだ。

「―――聞こえるか?総員、一時撤退!怪我人がいるところは、そいつらを助ける事を優先しろ!まだ動ける奴は、士が援護に来るまでなんとか堪えてくれ!」

段々と士君が離れていく。少しずつ朦朧としていく意識で、それだけはわかった。
だから私は、通話を終えたヴィータちゃんの服を掴んだ。

「ヴィータちゃん…ダメ……士、くんを残して、行くなんて…」

その時、服を掴んでいる手に、ポタリと水が落ちた。
ヴィータちゃんが、泣いていた。

「すまねぇ、なのは……今は、我慢してくれ…!必ず私が助けに行くから…!」

そう言ったヴィータちゃんの表情は、とても悔しそうだった。

そうしている内に、士君の姿はどんどん遠ざかっていく。思わずその背中に手を伸ばす。届かないとわかっていても、どうしても見ているだけじゃダメだった。
士君がいなくなってしまうのではないか、という不安が、何故かその時私の中にあって、それが私をさらに焦らせる。士君の背中を見ていると、そんな嫌な予感がしたから。

そんな彼の背中が動いたのを最後に、意識が薄れていった。








「―――…行ったか…」

ヴィータがなのはを抱えて飛び去ったのを、士は振り返りもしなかった。
ただ視線の先にいる怪人達を、じっと見据えたまま、佇んでいた。

〈マスター…〉
「あぁ、わかってる。魔力に余裕がない分、こいつを使ったら結構マズいことぐらいはな」

士はライドブッカーから一枚のカードを取り出し、それを眺める。

「…まさか、こいつを使う日が来るなんて、考えもしなかったな」
〈何故です?結構強力な能力の筈ですが…〉
「使った
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