SAO編
第一章 冒険者生活
5.戦友には無粋なこと
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「――リックさんたちは……出来ればクラウドさんたちの所へ応援に向かって下さい。お願いします!」
「お願いしますっ」
「しますッス!」
「え、あっ、おい!?」
言うだけ言って駆けて行く三人の女の子らに、オレは無意識に手を伸ばしていた。
金、銀、茶色という目を引く三色の髪を靡かせながら段々と小さくなる三つの背中。こっちは死にそうな目に遭ってくたくただってぇのに、同じ思いをしただろうあの子らは何であんなにも元気なのか。
――いや、疲れていても走らなきゃいけねぇ。そんな顔をしてやがったな……。
「……ちっ」
年下の女の子らが頑張ってるっつぅのに、オレはへばってる? ……何か、ムシャクシャしやがる。
槍にもたれ掛かる様に立っていたオレは、愛用の《ブロンズスピア》を持つ手にぐっと力を入れて石突で地面を押し、背筋を伸ばして自分自身の足でしっかりと立った。
そして、今の会話を聞いていただろうPTの野郎共に、今の言いようも無い憤りをぶつけるように怒鳴りつけた。
「おい、お前らっ! 聞いてただろっ!? POT飲んで……いや、飲みながらクラウドんとこ向かうぞ!」
戦いに疲れてダレていたPTメンバーが、オレの言葉にノロノロと立ち上がる。「シャキッとしろや!」と言いたいが、疲れているのはオレも同じ、出来ることならまたあんな戦場には行きたくないってのも解る。
「ええっ? もう少しだけでも休ませてよ、リック……」
外聞無く地面に座り込んでいるモヤシ野郎――ネルソンが、似合いもしない革鎧を着た体を脱力させながら言ってきた。ヘタレでどうしようもない奴だが、言われたことはちゃんとやる奴だということは長年の付き合いで解っている。事実、さっきの戦闘中じゃ、顔が引きつるほどビビリながらもオレの指示通りには動いていた。
――まあ、言われなくちゃやらねぇってのがアレなんだがなぁ……。
一応こいつら全員、現実での友人だ。小せえ頃からの腐れ縁で、気が弱く主体性の無い奴らばかりだったからか、柄でもねぇのにオレが仕切り役をすることが多かった。
そんな友人達(こいつら)が珍しくオレを誘ってきたのが、この《ソードアート・オンライン》だ。今まで見たこともないような興奮したノリでSAOの良さを力説するこいつらに、呆気に取られたままのオレはSAOにログインした。
んで、すぐさま茅場晶彦によるデスゲーム宣言。
おいおい、コレどうすんだ? と相談しようとしたオレが見たのは――――めっちゃビビッてるダチたちだった。
しょうがねぇから現実と同じノリでオレが仕切って、なんとかここまで来たんだが……。
――ンとに、言われなきゃやらねぇ奴らだな……っ。
「え? ……いたたたっ
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