SAO編
第一章 冒険者生活
5.戦友には無粋なこと
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った。
素早く装備フィギュアの武器スロットに《それ》を入れ――直後、右手に《それ》がオブジェクト化して現れる。
カテゴリ《ロングスピア/ツーハンド》、固有名《トルーパス・スピア》
エウリア村の鍛冶屋で売っている唯一の木柄の長槍だ。全長九尺(約272.7センチメートル)の、先端の両刃の片方が銛のように鋭い返しになっている槍だ。
「……よしっ」
本当ならある程度HPが回復するまでじっとしていたいが……。あの《ヴァルガゴブリン・コマンダー》はこのまま放置出来ない。4メートルもの距離が開いていたにも関わらずに攻撃してきたゴブリンコマンダー。奴が加勢してきたらルネリーたちには荷が重いだろう。奴は、俺が倒さなければ。
「はっ!!」
「え? キリュウさん!」
「ちょっ、まだ全然回復してないッスよ!?」
「あわわっ」
俺の前に居たルネリーとレイアの間を飛び出す。HPが殆ど回復していないのにも関わらずに行動を再開した俺に驚く三人を尻目に、少し強引にゴブリンたちを掻き分けて、群れの開けたところに出た。
「…………」
そして再び相まみえたゴブリンコマンダー。吊りあがった目で俺を睨みながら右手を軽く振る。その手に持っているモノは……。
――《鞭》か……。
ピシャンッ! と地面を弾くように鞭で叩くゴブリンコマンダー。鞭にも色々と種類はあるが、どうやら奴が使っているのは《牛追い鞭》と呼ばれる長く柔軟な鞭だ。長さは約5メートル程だろうか。先ほどはゴブリンたちの隙間からだったし、いきなりのことでよく見えなかったが、俺の槍を壊したのはどうやら《鞭のソードスキル》だったようだ。
「キリュウさん!」
「こ、こいつは!?」
俺の後を追って三人が現れ、見慣れない風貌のゴブリンコマンダーを見て軽く驚く。
「……恐らく奴が、この襲撃の指揮官クラスのモンスターだ」
「……っ」
「お前たちには、まだ鞭相手は無理だ。奴は俺が戦う。……お前たちは、周りのを頼む」
「っ、はい!」
「わかりました!」
俺の指示に、質問すること無く頷いて行動する三人。
色々と俺に訊きたいことはあっただろう。どうしていきなり走って行ったのか、どうして此処で戦っていたのか、どうしてHPの回復を待たずに飛び出したのか。
しかし、そんな暇も余裕も無い、そんな状況じゃないということを三人は理解していた。感情的な疑問よりも、理性的な行動を取ったのだ。
俺はそれに、応えたいと思った。
「グ……グルアア!!」
雄叫びと共にゴブリンコマンダーが動いた。地面に垂らしていた鞭を思い切り上段に振り被る。
「ガァッ!!」
そして野球のピッチングのように、勢い良くそれを振り下ろした。
ソードスキル
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