SAO編
第一章 冒険者生活
5.戦友には無粋なこと
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り下ろした途端、藤色に輝く《何か》がゴブリンたちの間を勢いよく駆けて俺に迫り、槍の中腹に当たった。バチンッ!! という爆ぜる音と共に、体が仰け反るくらい強烈な衝撃を受け、バキバキと不吉な音を鳴らす槍。そして――
「……な」
攻撃を受けた中心が砕け散り、槍が真っ二つに折れてしまった。度重なる戦闘の連続に、攻撃を受ける時の耐久値減少量が他の武器に比べて多いという特性を持つ木柄の《ウッドハンドルスピア》が、ついに耐え切れなくなったのだ。
――此処で……かっ。
突然の攻撃に軽く仰け反りながら心の中で悪態を吐く。しかし、そんな暇すら与えないとばかりに周囲にいた三匹のゴブリンが俺目掛けて武器を振るおうとしてきた。
俺はその内の二匹の顔に、二つに折れた槍のそれぞれを投げつけ、残る一体の攻撃を体を無理矢理捻ることで避ける。
――くっ、せめて十秒だけでも時間を稼げれば……っ。
間合いのある武器を失ったことで敵がどんどん近寄って来る。投げつけた槍は、一瞬だけゴブリンたちの足どめに成功したが、次の瞬間には粉々に砕け散っていた。
焦る俺に、今度は五匹のゴブリンが迫る。
「だめェ――――ッ!!」
「!? レイア!」
突如、叫び声を上げながら俺とゴブリンの間に滑りこんできた人影。普段の淑やかな印象とはかけ離れた声を放ちながらゴブリンにソードスキルを打ち込む――レイアだった。
そこから更にルネリーとチマの二人が飛び出して来て、三人が俺の前で扇状に陣取った。
「ヤ――ッ!!」
そして、横に並んだ三人が同時に剣技(ソードスキル)《ホリゾンタル》を放った。息の合った三人の同時の横薙ぎは、ソードスキルの攻撃力も相まって、強力な範囲攻撃となり、さっきまでチクチクと俺がHPを削っていたゴブリンたち五匹を一気に光へと還した。
「キリュウさん! 今のうちに回復を!」
俺の正面で背中を向けてその銀色の長髪を波立たせているレイアが、敵を見ながら叫ぶ。そして息つく暇なく、周囲のゴブリンたちに立ち向かっていく三人。
――ふっ、いつの間にか立場が入れ替わってしまったな……。
俺を守るような位置取りで戦う三人の意図を察知し、すぐさま左手で腰のポーチから《回復ポーション》を取り出して飲み、同時に右手でシステムメニューウィンドウを呼び出す。膝をついてしゃがみ込み、出来るだけ小さくなってルネリーたちが守りやすいように努め、しかし周囲に気を配りつつウィンドウを操作する。
――だが本当に危なかった。せっかく《この時の為に買った》というのに、使う暇も与えられずに殺れるところだった…………ルネリーたちには頭が上がらんな。
襲撃開始の直前、俺は激戦を予想し、武器が壊れる可能性を考えて《これ》を買
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