暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
第一章  冒険者生活
5.戦友には無粋なこと
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、痛いよリック! HP減っちゃうよ!?」

 久々にカチーンと来たオレは、ネルソンの耳たぶを引っ張って大声で言った。

「……ンの、馬鹿ヤロォがっ!! あの嬢ちゃんたち見て何とも思わねぇのかっ!?」
「!?」

 耳元で大声を出されたネルソンは目をギュッと瞑り顔をしかめる。
 オレはネルソンの耳たぶを掴みながらメンバーを見渡してもう一度言った。

「……さっきの戦い。正直、年下でオレらより人数の少ないキリュウPT(あいつら)に、オレらおんぶにだっこだったろ? しかも、あいつらはまだ戦ってるらしいじゃねぇか。……年上としてよぉ、何とも思わねぇのかよ?」

 さっきとは違い、ゆっくりと、言い聞かせるようにメンバーに言う。オレだって、こいつらと今まで付き合って来て、この煮え切らない態度とかに嫌な思いをしたことは何度もある。んだが、それでも付き合いを続けてきたのは……

「……っ」

 今まで座り込んでいた奴らが無言で立ち上がり、POT(ポーション)を出して呷った。……その目には、少しだけ火が灯っていた。

 ――遅ぇよ。まったく……。

 ニヤけそうになる口を引き締めて、オレはメンバーに背を向けて言い放った。

「行くぞっ!!」

 走り出したオレの後を追うような足音と共に、「オー!!」というノリの良い雄叫びが辺りに響いた。




  ◆




「ギャ、ウッ!?」

 近付いて来た一体の《ロウアー・ゴブリン》の太腿に槍の切先を突き刺し、動きが一瞬止まったところに直ぐ、喉仏に再び刺突を放つ。更にそれを抜いた勢いそのままに一回転、周囲のゴブリンの足を払う。

 ――それにしても、厄介な状況だ……っ。

 現在、俺が戦っている場所は《エウリア村》の入口である門と、俺たちが通ってきた森の間にある草むらだ。広さは、先ほどの石橋よりは少し広いくらいか。そこに約四十匹ほどのゴブリンたちが犇いている。
 このような多勢を相手にする場合は、常に敵全体を視界に納めるように位置取りをし、背後からの攻撃をさせないように戦う方法が望ましい。だがこのゴブリンたちは、俺が一定以上の距離を取ると、途端に《村に向かって》進路を変えようとする。故に――

「セェイッ!!」

 俺は殆んど敵集団の中央で奮戦していた。槍の長い射程を活かし、敵の攻撃の間合いまで出来るだけ近づけさせないように休み無く攻撃を放つ。
 モンスターが《人型》の場合、足を攻撃したり、体勢を崩すよう攻撃を行うことで、《転倒(タンブル)》状態というバットステータスにすることが出来る。俺はそれを利用し、周囲の出足を槍先で挫くような戦法を取り続けた。

 ここで意外にも役に立ったのが《索敵》スキルだ。通常、意識した対象一体の頭上にタ
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