微笑みのホワイトデー
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そんなことを気にする余裕も無く、緊張と焦りで喉をカラカラにしてました。
そうですね。あなたは答えてくれました。不審な私を相手に、あの時は本当に有難う御座いました。
私はそれから色々と話をしました。何を話しましたっけ?恥ずかしくて覚えてないです。でも確か雨の降るメカニズムとか、そんなとんちんかんなことだったと思います。言い訳をしますと、天気から強引に連想した結果なんです。だって何も浮かばなかったから。でももっと話をしていたかったから。
それでひとしきりあなたと話して満足しきった私はフゥと満足気な息を吐いてから、やっと正気に戻りました。
それで今更あたふたと慌てふためいて、すみませんでしたとあなたに頭を下げて一目散に走り去りました。私は恥ずかしいことしたな、と思いながらも楽しくなってきて、走りながらふふふと笑みを零していました。
それから私はあなたのことがもっと知りたい、あわよくばもっと仲良くなりたい、そのことばかり考えるようになりました。
だから私はあなたのことを調べました。幸いあなたは私と同じ大学に通っていたので、調べるのは難しくなかったです。私はこれ程までに私の大学に感謝したことはありません。
あなたのことを調べ続け、あなたのことを人に尋ねる度に、人はあなたを尊敬し羨望し時に嫉妬しているだということが確信に近づいてきました。
そしてあなたが素晴らしい人だと知れば知るほど、あなたと仲良くなりたいと思う気持ちが強くなっていきました。
だけど、調べていく内に、あなたのことをつけ回している女がいるっていう話も聞きました。私はその女に憤慨すると同時に、あなたの優しさを思い出しまして、あぁ、だからそんな人が出てくるのかなんて変に納得してしまいました。
だからその女のことを突き止めたいと私は思いました。突き止めてどうしたいかは考えてなかったです。でも、あなたの為に何かをしたい。私はその思いで人に尋ね続けました。勿論、あなたの為に何かをする自分になりたいだけなのは事実で、その時から、あぁ、これは自己満足だな、なんて思ってる自分がいましたしそれを否定出来ませんでした。
それから私はその女について聞き回りました。その女の話は噂程度だったので大事なことになると口を割りたがらない人が多かったですが、私なりに弁舌をつくしてその女について色々と詳しくなりました。
冷静に考えると、その時の私はおかしかったと思います。こんなに饒舌で、こんなに見知らぬ人に迷惑をかける私なんて見たことがありませんでした。
だけどそれと同時に、とても生き生きしていました。その時の私はまるで悪魔か天使にそそのかされたように動き回ってました。
そして自分が自分でないような、それでいて心地よい日々を過ごしていって、ある日ついにその女のことが分かったんです。
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