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少年と女神の物語
第三十四話
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の関係なんて」

 その先にいたヤツがそう声をかけてきたので、俺もそう返す。
 へんに下手に回る必要はないしな。

「ま、確かにそうだ。ただ、それは地上で暴れまわってるまつろわぬ神の連中だろ?オレはもうそんなヤンチャはやめた、隠居した神だぜ?」
「だったら、たずねた矢先にあんなことをしてきたことの説明をしてくれるか?」
「ほっほっほ。それはそこのどら息子じゃなく、(わたくし)の仕業ですぞ、羅刹の君よ」

 後ろから声をかけられて慌てて振り返ると、そこにはどう見てもアルコールだろうな、という瓶をコップを三つ持った老人がいた。
 先ほどまで話していたやつは青年という印象だったので、見た目も性格も間逆であろうこの二人が同じ空間で暮らしていることに少し驚く。

「まあ、その無礼についてはお詫び申し上げます。ただ、こちらとしても事情がありまして」
「・・・事情?」
「はい。まず一つ目に、我々も生と不死の境界に住まうものです。生の領域に住むものに、そこでの情報を与えるというわけにはいかぬのですよ」
「それで、コイツはこんな姿に変わったのか。・・・ああ、この後神様と戦うことになるだろうから、酒はいらん」
「それはそれは。気が回らず申し訳ありませぬ」

 一応未成年ではあるんだが・・・家では普通に飲んでるからな、俺を含める一部の姉弟(兄妹)は。
 飲めないのは、調と切歌、桜、それに林姉くらいか。

「それで、二つ目は?」
「二つ目は、オレたちの相棒の現相棒が、どれだけの実力なのか知りたくてな。ちょうどピンチみたいだったし、つれてきて試してみた、ってとこだ」
「言ってることが一切分からないが・・・相棒?」

 そんな呼び方に該当しそうなものなんて・・・二つくらいしか、心当たりがないぞ・・・

「・・・俺は、神代武双。ゼウスを殺してカンピオーネになった。あんたらは?」
「ん?まだオレたちは挨拶もしてなかったか?悪い悪い!」
「すみません、羅刹の君よ。(わたくし)もこのどら息子も、挨拶すらしておりませんで」

 そして、その二人(二柱)は、自らの名を名乗った。

「オレはクー・フーリン。ケルト神話の英雄だ。ま、これから何度か会うことになるかも知れんが、よろしく頼むわ」
(わたくし)の名前はルー。ケルト神話の太陽神にございます。これから先、幾度となくお呼び出ししてしまうことになるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします」

 その名前は、俺が予想していた名前と一切違いない、名前だった。

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