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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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でした。

 そう、先ほどの彼女は見た目通り……。俺と同年(タメ)か、もしくはやや幼い少女にしか見えない雰囲気を纏って居たのですが、今の彼女は高位の精霊に相応しい、落ち着いた雰囲気を纏って居たのです。

「何か言いたい事が有ったんやなかったのか?」

 上体のみを起こしながら、彼女に問い掛ける俺。今の一瞬に何が起きたのか良く判らないのですが、何故か、先ほど俺の目の前に居た少女の方が実は本当の彼女の姿で、今までずっと俺の傍らに居たのは、無理に背伸びをした。落ち着いた雰囲気を纏った佳人を意識的に演じて居たのではないか、とさえ思えて来たのですが……。
 崇拝される者ブリギッドや妖精女王ティターニアが、実は少女と言っても良いレベルのメンタリティを持って居たように、この水の精霊王も実は……。

 いや、其処に発生するギャップが俺の心を掴む為の……。

 一瞬、そんな考えが頭に浮かび、しかし、直ぐにそれを否定。
 何故ならば、
 確か少女の姿を持つ神霊は、その姿にメンタリティの部分も引き寄せられる可能性も有ったはずです。
 そして、今俺を真っ直ぐに見つめて居る彼女の容貌は、……確かに少女と言うにはやや完成された感は有りますが、身体付きや身長は未だ成長期の少女そのもの。
 その、現在彼女が選んでいる……。俺が望んだ彼女の姿形がその容姿なのですから、それに相応しい一面を持って居たとしても不思議では有りませんか。

 俺の問いに、僅かな沈黙の後、微かに首肯いて答える湖の乙女。
 そして、

「わたしが預けた指輪を見せて欲しい」

 ……と伝えて来る。
 しかし、その瞬間に発せられる微かな陰の気。ただ、これは良く意味の分からない陰の気。
 どうも、嘘を吐く際の陰の気と言う訳でもないようなのですが……。

 寝起きで未だ少し動きの悪い頭でそう考えながらも、右手は寝間着の胸のポケットへ。其処には、絶対に失くさないように……。

「心配せんでも、常に俺の身に付けて居るで、この指輪は」

 しかし、指に嵌める訳ではなく、常に俺の心臓に一番近い位置に納めている宝を彼女の目の前に差し出す俺。
 彼女から預かった時よりも更に輝きを増した蒼き指輪が、強い霊気を……。
 いや、ここまで明確な気配を発していたら判りますか。これは、龍の気配。俺と非常に近い雰囲気を放っているのは間違い有りません。

 これは、俺の龍気を常に受け続けた結果か……。
 それとも、この指輪――
 地球世界に伝わる北欧神話の中には、この指輪、アンドバリの指輪に良く似た名前の『アンドヴァラナウト』と言う指輪の伝承が残されているのですが……。
 その伝承の中で、この指輪を持つ者は指輪の呪いによりワーム。つまり、手足を持たない細長い龍の姿……東洋で言うトコ
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