第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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事件が多発している以上、ヤツだけがこの世界に関係していない、……と言う風に思いこむ事の方が、問題が有るでしょう。
そもそも、クトゥルフ系の邪神で真面な……。人間から見て真面に交渉出来そうな相手と言うのはヤツだけ。後は喰う事しか考えていない連中ばかりのはずですから。
「ガリア国内に存在する主要な神官。それにガリアの貴族。一般人の中からも適当に見繕い、聖スリーズからの御告げを夢の中から受け取って貰いましょう」
相手が悪夢のような戦乱の世を望むのなら、コチラは聖なる夢を使うだけ。
「ティターニア。湖の乙女。人間の集合的無意識下に働き掛け、望みの夢を見させる魔法は存在していたな?」
相手が滅びを夢見るのなら、こちらは輝かしい未来を夢見るだけ。
彼女らの肯定を見届けた後、次はイザベラ。彼女の方に向き直り、
「それに、姉上麾下の騎士団には、その手の幻影や催眠の魔法を得意としている騎士が大勢いるのではないですか?」
……と問い掛ける俺。
そう。要は、呪いの基本を逆手に取った呪い返しを行おうと言うだけの事。
今のトコロ、ロマリアが行ったのはガリアの王家に対して聖戦に兵を出し、エルフ懲罰軍に対して国内の通過を許可しろ、と言う二点を言って来たのみ。
ここで、その情報……聖戦にガリアが参加しないと言う情報を流すと同時に、彼方此方の有力者の枕元に聖人スリーズが立ち、神は聖戦を望んでいない、と言う内容の言葉を伝えて行く。
そもそも、このガリアは旧教に否定的な新教が主流と成って居る国の上に、聖戦の主戦場と成る可能性が大。
こんな国の人間の枕元に御告げで、神が聖戦を望んで居ないと伝えると……。
「その後に、国民が集まっている場所で神の奇跡を演出して見せたのならば、国民の中に希望と共に、この御告げが強く印象付けられる事になる」
演出する奇跡については何でも良い。オーロラでも、ファティマに聖母が顕われた際に起きた……と言われている太陽の奇跡でも良い。
要は普段と違う大規模な自然現象を演出して見せられれば良いだけですから。
いや、オーロラが良いか。ヨーロッパではオーロラは戦乱の予兆。本来、オーロラが見え難い低緯度地域にオーロラが見える時は主に赤い色の光が見えて、その赤が火を連想させる事から、オーロラは戦乱の予兆と言われていたはず。
そのオーロラが発生した後に、夢枕に聖スリーズが立ち、人々が争いを止めなければ、世界は煉獄の炎に包まれ、天から太陽と月が同時に消える事と成る、と警告すればかなりの効果が期待出来るでしょう。
「先ずは夢を不特定多数のガリアの民に見せる。ここから始めるべきやな」
☆★☆★☆
北……後背からの冷たい風が少女の柔らかな髪の毛を僅かに弄った。
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