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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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…と言った。

 ……成るほど。

「アルビオンを飛ばしているのが何モノなのかは判りませんし、その存在がロマリアと関係が有るかどうかも判りません。
 まして、今回の聖戦の発生さえも、本当はロマリアの意志ではなく、そのアルビオンを浮かせている存在の笛に従って、ロマリアの教皇が踊らされている可能性すら存在するでしょう」

 もっとクダケタ口調で話せ、と言うイザベラの言葉を完全に無視した形で、飽くまでも主と従の立場を崩そうとしない口調で続ける俺。
 このままなし崩し的にイザベラの弟役を一生演じさせ続けられるのは、流石に勘弁願いたいですから。

 それに……。
 俺の座る右側に存在する少女が、貴族の暮らしを望んでいないのは確認済みですから。

 ただ、そのアルビオンを飛ばしている存在に心当たりは有ります。
 そして、ヤツが関わって居るのなら、その行為に本当の意味で目的など存在していない可能性が高い事も。
 ヤツ……這い寄る混沌の目的は、ただ人間界が混乱すれば良いだけ、ですから。

 確かに、古の狂気の書物には、ヤツの目的らしき内容が記されている書物も存在して居ます。
 しかし、それではヤツの職能。矛盾と混沌が、その狂気の書物に記載された目的と言う物に因って消されて仕舞い、這い寄る混沌と言う存在自体が世界から消滅。新たに、その目的……世界を破滅させる目的と職能を持った邪神が誕生する事と成りますから。
 ヤツが矛盾と混沌を職能に有して居る限り、ヤツ、這い寄る混沌に本当の意味での目的など存在する事は有りません。
 何らかの目的を持って行動する。そこには、明確な秩序と言うものが発生して仕舞い、本来のヤツの職能……矛盾と混沌から外れて仕舞いますから。

 そして、ヤツが暗躍して居るのなら、今回の聖戦に関しても判り易い図式が出来上がります。

 エルフの国と人間の国が戦争を行う。その主戦場と成るのは、陸戦ならばガリア。
 更に、兵員の移動もガリアの国土を通らない限り、エルフの国に兵を送る事はロマリア以外の国には難しい。

 しかし、国土を他国の兵が抜けて行く事を今のガリアが認める訳は有りません。
 ここに、ロマリア対ガリアの図式が出来上がります。
 そして、国内の事情から考えると、旧教が完全に国を支配しているゲルマニアはロマリアの側に付くのは確実でしょう。
 更に現在、トリステインとの戦争中のアルビオンの本来の目的は聖地の奪還。

 つまり、現状でもガリア対ロマリア・ゲルマニア・アルビオンの連合国の図式が出来上がっていると言う事。

 これまでも十分、キナ臭かったハルケギニア世界が、更に戦乱の渦に巻き込まれて行くと言う事ですから。

 確かに未だ確証が有る訳では有りませんが、クトゥルフ系の邪神が関係している
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