第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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ゃないけど、そんな簡単な事で、その大地が宙に浮かび上がる現象を止める事が出来るのかい?」
この中で一番疑い深い……いや、その他の少女たちも当然のように、俺の言葉を盲目的に信用するような人間と言う訳ではないのですが、今は俺を試して居る最中のイザベラが疑問を口にして来ました。
尚、雰囲気的に言うのなら、他の三人の少女たちに関しては、これから先の俺の答えに対して、ある程度の予想は立っているような雰囲気を発して居ます。
もっとも、その為に何を行うのかが、彼女らに判って居るとは限りませんが。
「呪いの効果を上げるには、その状態を相手に認知させる事が重要です」
俺は、俺の知って居る『呪詛』と言う魔法の基本を口にした。
そう。呪いを一番効果的に発動させるには、呪いを掛けられた相手が、自分は今、呪いが掛けられて居る、と言う風に認識させる事が重要なのです。
元々、呪詛と言う物は効果が薄い物。
故に、最初に相手に呪いを認識させる事に因って、少しの不運や体調の不良をその呪いの効果だと錯覚させる。
一度認識して仕舞えば、それまで感じなかった小さな異変をより大きな物と感じるように成って行き……。
徐々に相手を精神的に追い詰めて行く。
これが、呪詛の基本形。
そして、これを今回の大陸が浮上する現象に当てはめるのならば……。
先ず、既に浮上して空中を漂う浮遊島と成って居るアルビオンは存在して居る。
そして、次に神の怒りに因って、そのアルビオンのようにブリミル教を信奉する人々が暮らす大地も浮遊大陸と成る、……と言う風に民衆に危機感を煽る。
その結果、民衆の心の中に神に対する畏れと、未知の現象への恐怖心が生まれる。
おそらくロマリアの意図は、その恐怖心。末世的な世界崩壊を予告して、それを回避する為には聖地の奪還しかない、と民衆に思い込ませ、其処から宗教的な熱狂状態を作り上げて、各国の軍隊に聖地の奪還に向かわせるのが目的だと思います。
ならば、それ以外の解決法を民衆に対して提示してやれば良いだけ。
納得が出来る。聖地の奪還に向かい、エルフを相手に不毛な戦争を行うよりも簡単に実現出来そうな解決法をね。
「湖の乙女、ティターニア。それに姉上。その為には、多少の小細工が必要なのですが、仕事を頼めますか?」
俺の問い掛けに、湖の乙女とティターニアに否はない。当然のようにそれぞれに相応しい肯定の答えを返して来る。
「姉上ねぇ……」
しかし、何が気に入らないのか、そう嘆息混じりで答えたイザベラ。ただ、直ぐに気を取り直したかのように
「ちゃんとお姉ちゃんが聞いて上げるから、さっさと、その考えとやらを話してみな」
…
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