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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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連中が『異教徒』と決めつけた存在を、同じ人間として認めるのか。

 地球世界の十字軍の蛮行の中には、

『我らが同志たちは、大人の異教徒を鍋に入れて煮たうえで、子どもたちを串焼きにしてむさぼりくった』

 ……と言う記述すら存在しますから。

 それに、ゲルマニアなどは今回の……、この聖戦開始の詔をガリア国内に兵を送り込む大義名分として利用する可能性も高いでしょうね。
 旧教が完全に支配するゲルマニアに取っては、国内の世論……貴族や聖職者たちの意志もその方が制御し易いですから。
 ましてやこの冬……。いや、未だジャガイモなどが存在しないこのハルケギニア世界では、ゲルマニアは常に食糧問題を抱えている国。

 その国に取って、この降って涌いた聖戦は正に渡りに船の状態。
 神の名の元に軍隊をガリアに送り込み、神の名の元に異教徒……新教に支配されたガリアの都市を襲い、正しい神の教えに従い異教徒どもの生命を刈って行く事と成るのでしょう。
 表面上の大義名分は。

 実際、十字軍時代のドイツでは遠くのイスラム教徒よりは近くの異教徒。……と言う形で、ユダヤ人たちのゲットーを襲い、ユダヤの民たちを殺して行ったのです。
 もし、この十字軍の遠征と言う物が歴史上で存在して居なければ、ユダヤに対する迫害の歴史は存在して居なかったか、もしくはもう少し穏やかな物で有った可能性も高いらしいですから。

 この世界の聖戦と、地球世界の中世に行われた聖戦……十字軍の遠征に対する考察を頭の中で纏め上げた俺。
 そうすると次は、その大地が浮遊する呪いに付いての対策……聖地を奪還して、神の怒りを和らげる以外の具体的な対策に付いて、ですか。

「ならば、有りのままを民衆に伝えてやれば良いでしょう。
 その神の怒りはガリアには及ばないと」

 話の流れ的には非常に筋の通った答え。しかしそれが、俺たちが暮らす大陸が浮遊大陸と成る可能性を失くす対策に成る、……と言われると首を傾げるしかない答えを返す俺。

 但し、既に飢饉への備えは整って居るのは事実です。
 疫病に関しても、モンモランシーや湖の乙女たちが動き、更に、その元凶で有る牛頭天王の現世へ顕現を防いだ事に因り、少なくともガリア国内では沈静化の方向で推移して居ます。
 まして、戦争をしているのはトリステインとアルビオン。ガリアは関係有りません。

 ロマリアが聖戦の理由に挙げた神の怒りに関して、ガリアに付いてはすべて当て嵌まりません。

 ならば、ガリアの民には、ちゃんと新しく建てられたノートルダムの聖堂で聖スリーズの像に祈りを捧げたら、間違いなく神の御加護が与えられ、精霊力の暴走に因る浮遊大陸化は起こらないと教えてやれば済むだけですから。

 しかし……。

「信じない訳じ
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