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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第84話 あなたを……愛している
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て、そう小さく告げて来る彼女。
 意味は判らない。いや、もしかすると、今の俺と前世の俺を同一に見ている事に対する謝罪なのかも知れない。
 そう考えて、改めて、俺を右の瞳にのみ映す少女を見つめる俺。

 俺を映す瞳が揺れ、背中からの光が彼女の精緻な容貌に僅かな影を作り出した。
 確かに、彼女が見ているのは今の俺ではないかも知れない。

 しかし――

「何度でも。……何度生まれ変わっても、必ずオマエの事は見付け出す。それだけは、他の誰でもない、今の俺自身として約束出来る」

 意気込みや思いとは裏腹な、かなり落ち着いた静かな口調で語り掛ける俺。何となく、勢いに任せた少年っぽい口調で捲し立てるのは違うような気がしたから。
 こんな大切な言葉を、考えもなしに勢いに任せて思わず口にした、と思わせる訳には行かない相手だから。

「あなたが近くに現われたら、わたしは必ず気付く。あの時、約束したように、ずっとわたしは独りではなかった」

 あなたの思い出を胸に抱いたまま眠る事を許されていたから。
 小さな背中を向け、後姿だけでそう答える湖の乙女。

「わたしがわたしで居られる場所。今度は絶対に……」



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